危機一髪!とっさの機転で暗殺を免れた伏見天皇「浅原事件」の顛末 (2/5ページ)
食い扶持を失った為頼は悪党となって犯罪行為に走り、指名手配とされていましたが、思うところあって畏れ多くも天皇陛下の寝所がある二条富小路殿へ乱入したのでした。
「誰k「騒ぐな!」
為頼は女官(女嬬)の一人を取り押さえ、天皇陛下の居場所を訊ねます。
歴史物語『増鏡(ますかがみ)』によれば、賊徒はいずれも背丈高く緋糸縅の鎧と赤地錦の鎧直垂をまとい、赤鬼のような恐ろしい形相であったと言います。
【原文】……丈高く恐ろしげなる男の、赤地の錦の鎧直垂に、緋をどしの鎧着て、只赤鬼などのやうなるつらつきにて……
「……御門(みかど。帝)はいずこにおわすか」
「あ、あちら、南殿より北東の隅にございます」
ここで正しい方角を教える馬鹿はいない……女官はとっさの判断で別の方角を指し示すと、為頼らはそれを信じてズカズカ行きました。
「賊、賊にございまする!」
女官は別ルートから逃げて女性陣に通報、伏見天皇に女装をさせた上で三種の神器と皇室に伝わる琵琶の玄象(げんじょう)、和琴の鈴鹿(すずか)などを持って無事に避難しおおせたのでした。
一方、為頼らは伏見天皇を見つけられぬまま御所内をさまよい歩き、駆けつけてきた警護の武士ら50数名に完全包囲されてしまいます。