品川区西五反田の行元寺前の石碑に記された敵討ちを是とする隠語 (4/4ページ)
それとも、先に挙げた冨吉や、赤穂浪士など、古今東西の英雄たちのように、自らの死をも厭わず、仇に対して怒りの鉄槌を下すべきなのか。具体的な「対象」が存在するならまだしも、天変地異や疫病などのように、「結果的」に理不尽な立場に追い込まれてしまった場合はどうすればいいのだろうか。また、仇討ちを果たしたところで、失われた時間や命を取り返すことは叶わない。それでもいいからと、仇を打つべきなのか。「人道的」な見地から、自分を最悪な状況に追い込んだ人間の罪を、「赦す」べきなのか。
このように、1か0のような「数学的」な「答え」が出ない「問い」が人間社会に存在し続けるからこそ、「隠語碑」の存在意義があるのかもしれない。
■参考資料
■「蜀山人の隠語碑文」『書道』1932年6月号(96-99頁)泰東書道院出版部
■「仇討碑餘談」『書道』1932年7月号(39-42頁)泰東書道院出版部
■「行元寺の仇打」『書道』1932年8月号(86-90頁)泰東書道院出版部
■小川貫道(編)小柳司氣太(監修)『漢学者伝記及著述集覧』1935年 關書院
■平出鏗二郎『敵討』1939年 冨山房
■中西慶爾『書とその風土』1968年 木耳社
■猪野健治『親分 −実録・日本侠客伝』1968年 双葉社
■浜田義一郎「大田南畝」国史大辞典編集委員会(編)『国史大辞典』第2巻 1980年(631頁)吉川弘文館
■西山松之助「敵討」国史大辞典編集委員会(編)『国史大辞典』第3巻 1983年(348−352頁)吉川弘文館
■共同訳聖書実行委員会(編)『聖書 新共同訳 旧約聖書続編つき』1987/1988/1995年 日本聖書協会
■竹田真砂子「牛込行元寺の仇討ち」『歴史読本』1997年1月号(96-99頁)新人物往来社
■鈴木貞夫「行元寺の仇討とその周辺」『歴史研究』1997年9月号(30-35頁)戎光祥出版
■真田信治「隠語」福田アジオ・湯川洋司・神田より子・中込睦子・渡邊欣雄(編)『日本民俗大辞典 上』1999年(147頁)吉川弘文館
■品川区教育委員会(編)『品川区史料 (七) 石碑』1999年 品川区教育委員会
■山本純美・井筒清次『江戸・東京 事件を歩く』2001年 有限会社アーツアンドクラフツ
■品川区教育委員会『しながわの史跡めぐり』1988/1997/2005年 品川区教育委員会
■佐木隆三『復讐するは我にあり 改訂新版[文庫版]』2009年 株式会社文藝春秋
■松永十吾「敵討ち・大田南畝・行元寺」『月刊 国際税務』2009年10月号(120頁)国際税務研究会
■井上泰至『近世刊行軍書論 教訓・娯楽・考証』2014年 笠間書院
■西本浩一「江戸っ子」木村茂光・安田常雄・白川部達夫・宮瀧交二(編)『日本生活史辞典』2016年(69頁)吉川弘文館
■長江俊和「本当にあった封印事件 3 閲覧注意…鬼畜と呼ばれた凶悪犯罪者が「死刑囚」になるまで」『現代ビジネス』2018年8月22日
■『PDF版 文語訳(大正改訳)新約聖書(1950年版)』
■「牛頭山千住院 行元寺」『天台宗東京教区』