令和時代のニキビ治療 ~根本から治せるようになった一方で、耐性菌の問題も~ (5/6ページ)

バリュープレス




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ガイドラインに沿った治療で耐性菌を防ぐ
 こうした状況をふまえ日本皮膚科学会は、2008年に作成したわが国初のニキビ治療ガイドラインを2017年に改訂し、抗菌薬の使い方についても指針をまとめました。 改訂版ではニキビ治療を「急性炎症期」と「維持期」の2つに分け、抗菌薬治療は原則「急性炎症期のみ」「対象は中等症以上」「投与期間は長くて3カ月」としています。黒川先生はさらに「同じ系統の内服薬と外用薬を同時に使わないことも重要」と指摘します。例えば外用と内服の両方でマクロライド系を使えば、耐性化しやすくなる恐れがあるためです。
 耐性アクネ菌が増えることはニキビ治療だけでなく、他の皮膚常在菌の耐性化や皮膚科以外の感染症治療にも影響しかねません。皮膚科専門医にはガイドラインをベースに、抗菌薬を適正に用いたニキビ治療が求められます。

AMR臨床リファレンスセンターとは
 「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」に基づく取り組みを推進する目的で、厚生労働省委託事業として2017年に設立。国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)に拠点を置き、薬剤耐性や抗菌薬適正使用に関する情報収集・分析、啓発活動を行っています。 薬剤耐性とは、感染症の原因となる細菌に、抗菌薬(抗生物質)が効かなかったり効きにくくなることです。抗菌薬に耐性を持った病原菌を「薬剤耐性菌」と呼び、抗菌薬の不適切な使用などによって耐性菌が発生し、人から人、環境へと広がっていきます。このまま何も対策をとらなければ、2050年までにAMRによって世界で年1000万人が死亡する事態となると言われています。
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