5300年前の頭蓋骨に耳の手術の痕跡を発見。人類史上最古の外科手術の可能性 (2/4ページ)

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 ここの巨石遺跡を管理していた古代の人々は、"個性をなくす"という儀式的な試みとして、多くの遺体の頭、四肢、骨盤を意図的に切断したと思われる。

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スペイン、エル・ペンドニスの遺跡で発掘された頭蓋骨 / image credit:S. Diaz-Navarro et al., 2022

 その仕事ぶりは優れていたといっていい。発見されているのは頭蓋骨だけなので、持ち主個人についてはなにも語ってくれない。

 頭蓋骨の主は女性ということはわかっているが、歯も手足もないので、彼女が何歳まで生きたのかもわからない。

 歯がないこと、頭蓋骨がくっついていることから、35歳から50歳の間の、この時代としては高齢の域に入る女性だったのではないかと考えられる。

 さらに、女性はかなり乱暴な初期の耳の手術を受けていたらしい痕跡があった。

 彼女の耳の感染症はかなりひどかったに違いない。麻酔などない先史時代の耳の手術は、耐え難い痛みを伴ったことが想像できる。

 耳の後ろの頭蓋骨に穴をあけるためには、女性を抑えつけて拘束するか、現実を意識させないような薬物を投与する必要があったはずだ。

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エル・ペンドニスの遺跡で発見された頭蓋骨の前面と側面/ image credit:S. Diaz-Navarro et al., 2022

 しかしながら、手術の効果はあったようだ。女性の両耳のそばの骨には劣化が見られ、どこかの時点で感染したことは確かだが、死んだときには感染症の痕跡は見られなかった。

 実際、治癒の過程でよく見られるように、きれいな骨が再生していた。
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