なんというゲス行為!それとも功徳?平安時代、貴族たちが庶民たちに行った「とりばみ」とは (1/4ページ)
私事で恐縮ながら、子供のころ、夕食後にテーブル下の米粒(食べこぼし)を拾い集めるのが日課でした。
集めた米粒を庭先にまいておくと、それを翌朝、雀が食べに来るのです。
「雀にご飯をあげようね」
自分では食べられないけど、雀なら食べてくれる。少しでもフードロスを減らすための工夫ですが、似たような習慣を平安時代の貴族たちも行っていました。
その名も「とりばみ」。漢字で書くと鳥喰、食べることを喰(は)むとも言いますね。
しかし他にも執喫・執咋・取食などの漢字表記が。意味は執=取、喫=咋=食と同じです。
取る(執る)という行為は基本的に手で行うものですが、鳥には翼こそあれ人間のような手を持っていません。
となると平安貴族の言う「とりばみ」は、鳥だけに行うものではない……とすれば、いったい何をするのでしょうか。
食べきれぬたくさんの料理を……「あぁ、食うた食うた」
平安時代、貧しい暮らしをしていた庶民に対して貴族たちは贅沢三昧。そんなことを、歴史の授業で教わった記憶があります。
それは食事についても同様で、例えば大饗(だいきょう/おおあえ)と呼ばれる内裏や大臣邸での宴席では、以下の料理が供されたとか。