春は出逢いと別れの季節…『古今和歌集』より、行動を起こす決意を詠んだ源寵の和歌を紹介 (2/4ページ)
源寵も一緒に?(イメージ)
(未練がないなら追って来られても困るだけなので、行先は教えない方が得策)
あるいは本当に常陸へ行くあてが出来た、例えば常陸の国司(常陸介)と関係を持ち、現地へついて行った可能性も考えられます。
果たして実際はどっちだったのでしょうね。
源寵のプロフィールそんな寵は源精(くわし)の娘で、第52代・嵯峨天皇から見て曾孫に当たります。
【略系図】嵯峨天皇-源定(さだむ)-源精-寵
また兄弟(同母かは不明)に源浮(うかぶ/うく)がおり、代々一文字名なのが面白いですね。
寵という文字には「うつくしむ=大切に慈しむ」「恵む」などの意味があり、例えば寵愛という言葉は「愛情を恵む」「大切に愛する」という意味に。
この「うつくしむ」は「美しい(大切にしたい要素を備えている)」の語源でもあり、父・精がよほど彼女の誕生を喜び、愛情を注いだかが偲ばれます。
ちなみに『古今和歌集』にはもう二首ばかり、寵の詠んだ和歌が収録されているので、そちらも紹介しましょう。
しののめの 別れを惜しみ 我ぞまづ
鳥より先に なきはじめつる※『古今和歌集』巻十三より
【意訳】夜明けの別れを惜しみ、一番鶏が啼くより先に、私が泣いてしまいました。
東雲(しののめ)は文字通り東の空に浮かぶ雲、それが見えるということはもう夜明け。夜中に通って来てくれた夫がもうすぐ帰ってしまう……鶏の鳴き声がその合図でした。