春は出逢いと別れの季節…『古今和歌集』より、行動を起こす決意を詠んだ源寵の和歌を紹介 (3/4ページ)
「また今夜」彼はそうお決まりを言うでしょうが、その言葉を信じて待ち続けた結果が冒頭の公利です。
山がつの かきほにはへる あをつづら
人はくれども ことづてもなし※『古今和歌集』巻十四より
【意訳】山奥のわび住い。その生垣に青いつる草がのびているので、たぐり寄せたものの、言づての一つもありません。
山賤(やまがつ)は山中に住む樵(きこり)や狩人など、身分の低い者を指します。転じて「山奥にポツンと住んでいるような侘しい暮らし」を意味しているのでしょう。
想い人を待ちわびていたら、いつの間にか垣穂(かきほ。生垣)に青葛(あをつづら。つる草)がのびていたので、みっともないから引っこ抜こうとたぐり寄せます。
その様子を「人はくれども(つる草をたぐっても)」=「人(使いの者)は来れども」にかけ、彼からのメッセージはないかと期待しても、お決まりのあいさつばかりで何もありません。
なんだ……彼女の落胆ぶりが目に浮かぶようです。
終わりに以上『古今和歌集』より源寵の和歌三首を見てきました。