執権の立場は重々承知…それでも弟の危機に駆けつけた「北条泰時」の兄弟愛【鎌倉殿の13人】 (3/5ページ)

Japaaan

「越後守(朝時)様はお出かけのため難を逃れ、留守居の者で賊どもを捕らえたため、ご心配には及びませぬ」

「左様か。大儀であった」

安堵した泰時は、念のために手勢の勇士を名越館へ向かわせ、自身は引き返したのでした。

盛綱の諫言に泰時が答えた「兄の思い」

あぁ良かった、弟が無事で……しかし、そんな泰時を諫言する者がおりました。北条家の家司(けいし。執事)を務める平盛綱(たいらの もりつな。三郎兵衛尉)です。

「御身は執権の重職にございますれば、たとい国賊の謀叛であろうとまずは使者を遣わして状況を把握した上で慎重にご対処なされませ。お命じ下さればそれがしが参りましょう。ともあれ状況が判らぬまま飛び出していくのは感心しません。天下の執権がそんな軽々しいことでは民も不安になり、世も乱れかねませぬ」

ふむ、なるほど道理である……盛綱の言い分を呑み込んだ泰時は答えました。

「三郎の申すところはもっともぞ。しかし、目の前で弟が危機に陥っているのに立場など気にしておれぬ。また、弟を見殺しにしてしまったら、立場など何の価値があろうか。武とは人命を守るための力。また『身内の危難など小事』とする考えもあろうが、兄としては建暦や承久の大敵に立ち向かうのと変わらぬ『大事』である」

建暦の和田合戦で陣頭指揮を執った北条泰時。

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