神さま仏さま泰時さま!天下の名宰相・北条泰時が飢饉に苦しむ領民を救ったエピソード【鎌倉殿の13人】 (4/7ページ)
「さて、どうしたものか……」
10月5日に伊豆北条へ到着した泰時は、その「急用」を片づけるための段取りを組みます。
実は領民たちへ貸しつけていた種籾(たねもみ)の取り立てを、父・江間小四郎義時(演:小栗旬。北条義時)に命じられていたのです。
昨年は凶作だったため、今年の春に作付(さくつけ。田植え)する稲の種籾を五十石ばかり貸しつけたところ、8月の台風によって今年も不作。
年貢すら満足に納められない状況ですから、とうぜん種籾なんて返せません。返済期限が迫る中、もう首が回らないから夜逃げしようか……そんな領民たちを、何とか思い留まらせねばなりません。
一計を案じた泰時は翌10月6日、本件の債務者数十名をすべて館に招集しました。みんな呼ばれる心当たりがあり過ぎるので戦々恐々、種籾を返せ戻せと責め立てられるのだろうと気が気ではありません。
しかし出てきたのは飯に酒。いったい泰時は、何を考えているのでしょうか。
「本日はお忙しい中、ようこそお集まり下さいました。お席に用意してある飯や酒は気持ちですので、どうぞお上がり下さい」
そして債務者全員の借用証文を持って来ると、みんなが見ている前でこれを焼き捨てたのです。どうしてでしょうか。
「皆さんが苦しいのは重々承知……そこでただいま証文を焼き捨てたとおり、春に貸しつけた種籾についてはなかったことといたします。