待つことは意外と楽しい【研究成果】 (2/5ページ)

バリュープレス




【本研究のポイント】

・人は自分がどれだけある行動を「楽しめそう」か、「退屈そうか」を予想して未来の行動を選択する。
・これまでの研究では、「何もせずに過ごすこと」は、「楽しくない」「苦痛を伴う」と評価され、何もしない状況を避けるために電気ショックのような不快な刺激まで求めてしまう傾向が報告されてきた。
・しかし、人が「何もせずに過ごすこと」の楽しさをどの程度正確に予想できるかはわかっていなかった。
・本研究により、 人は待つことを過度に「退屈である」と評価するにも関わらず実際は予想したよりも待つことを楽しむこと、待つことへの過度な低評価が実際の行動選択に影響していることを明らかにした。


【実験の方法】

 実験の参加者に①これから決められた時間何もせずに待つこと、②待つ間はスマートフォンを見たり、歩いたり、眠ったりはできず、ただ自由に考えごとをしながら過ごしてほしいことを説明し、待つことがどの程度楽しいと思うかを予測してもらいました。
 その後別室に移動し、実験者が迎えに来るまで1人で過ごしてもらいました。最後にもう一度実験室に戻ってきてもらい、実際に待つことがどの程度楽しかったかを評価してもらいました。


【研究の成果】

 予測された楽しさ(課題への動機づけ)は、実際の楽しさよりも低く評価されていることがわかりました(図1)。
 この結果は、予測と実際の評価を別の人がやった場合、真っ暗で音が聞こえにくい状況で待った場合、待つ途中で実際の評価を行った場合でも変わりませんでした。これらの結果は、予測という行為そのものが実際の待つことへの評価に影響しているわけではないこと、外部からの刺激を極力減らした場合でも予測以上に待つことを楽しめること、待つという課題が終わったことの開放感から実際の楽しさが高く評価されているわけではないことを示唆しています。
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