汗をかきにくい・かけない病気があるって知ってる?「ファブリー病」について専門家に聞いてみた (1/4ページ)
暑いと私たちは汗をかくことで、身体の熱が上がり過ぎないように体温調節をします。
しかし、汗をかきにくい・かけない「無汗症」という病気の人は、汗での体温調節が難しく、暑い季節は体調を崩したり熱中症になったりというリスクが高くなります。
無汗症の中でも特に診断がつきにくい「ファブリー病」について、埼玉医科大学医学部脳神経内科教授、中里良彦先生にお話をうかがいました。
ファブリー病は遺伝性・先天性の病気で診断がつきにくい
ファブリー病とは厚生労働省の指定難病であるライソゾーム病の一種です。
ライソゾームはヒトの細胞の中で不要な物質を分解する役割を担い、分解に必要な酵素が多数存在しています。
ファブリー病は、そのうちの一部の酵素の働きが低下しているために、不要な物質が身体の組織に貯まってさまざまな症状を引き起こす遺伝性、先天性の病気です。
症状は年齢によっても異なり、幼児期・学童期には「汗をかきにくい・汗をかけない」といった発汗障害や手足の激しい痛みなどの症状があります。
生まれつき“汗をかけない・かきにくい”病気はファブリー病以外にもありますが、ファブリー病は特に診断が難しく、子ども特有の症状は「身体が弱い」「運動が苦手」など“個人の体質”として見過ごされがちです。
そのため、ファブリー病の子どもは長い間、原因不明の倦怠感や高熱だけでなく、周囲の無理解にも苦しみながら生活することが多いのだそうです。