古代信仰を現代に伝える「アラハバキ神祠」。アラハバキとは一体どんな神様なのか? (4/5ページ)
かつては村民の手により土橋がかけられていた。筆者撮影
現在の「あらはばきはし」は往時の寸法(長二間≒3.6メートル×幅四尺≒1.2メートル)よりちょっと小ぶりながら、ここに架かっていたことを示すために造ったものと思われます。
ところで、アラハバキとはどんな神様なのでしょうか。
古代から信仰される道祖神・製鉄の神様【諸説あり】アラハバキは記紀神話(古事記、日本書紀。日本神話の公式ストーリー)には登場しない土着の神様で、漢字では荒脛巾・荒吐・荒覇吐・阿良波々岐・荒羽々気などと書かれます。
今回の神祠は荒伯耆(アラハハキ)と表記されており、伯耆(ほうき。律令国家の一、現:鳥取県西部)の旧仮名遣い。何か山陰地方との関係があったのかも知れませんね。
アラハバキ神のイメージとして知られる遮光器土偶(青森県亀ヶ岡遺跡出土)。画像:Wikipedia
アラハバキの性質については諸説あり、人々の道中安全を守る塞ノ神(道祖神)や製鉄を生業とした蝦夷の氏神、あるいは大和王朝に討伐されたナガスネヒコ(長脛彦)を祀ったとするなど様々です。
他にもアイヌ語で女性器を意味する(鳥居や祠が女性器で男性器≒蛇≒山の神を祀る)とかハハは蛇(山の神。男性器の暗喩)の古語とも言われ、下半身(足腰などの健康はもちろん、旅や移動なども含む)に関するご利益があると言われます。
アラハバキ神
東北地方の津軽や出羽などで見られる民俗神ですが、なぜ本郷に存在するのか諸説あります。