海底に沈んだ「ドッガーランド」の失われた文明を調査 (1/3ページ)
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今から1万年ほど前、まだイギリス(グレートブリテン島)がヨーロッパ大陸と地続きだった時代、北海には「ドッガーランド」と呼ばれる陸地が存在した。
すでに海底に沈んでしまったこの陸地は、ヨーロッパ最大の先史時代の集落が存在した重要な場所なのだが、じつは今ピンチにある。
気候変動対策として、洋上風力発電の開発が急ピッチで進められているからだ。
時間との戦いを強いられる英ブラッドフォード大学の研究チームは、限られたチャンスを活かすため海底の「磁気フィールド」を利用して調査を行っている。
・磁気を利用して水没した文明の存在を探る
博士課程の学生ベン・ウルムストン氏が探そうとしているのは、磁気データに表れている磁場の異常だ。それは海底の遺跡の存在を示すものだ。
「磁場の小さな変化は、泥炭が形成された地域や堆積物、あるいは河道などの浸食された場所など、地形の変化を示していることがあります」と、ウルムストン氏はプレスリリースで説明する。
こうした磁気の異常を探る方法は、地上での考古学的調査ではよく利用されている。
だがウルムストン氏らはそれを海底に応用しようとしている。そうすることで、わざわざ潜ることなく、海底の遺跡を調べられると考えられるからだ。
運が良ければ、狩猟採集の痕跡や貝塚のような、当時の人々がそこで生活していた証拠が見つかるかもしれない。