献花や供花に用いられた植物の種類や歴史を時代や地域別で分類 (2/3ページ)

心に残る家族葬



■イスラエル・ナトゥーフ文明墓地跡のハーブ

献花の歴史について更に世界を見てみると、イスラエル北部の洞窟にある12000年前の墓地の遺跡からミントやセージなどの痕跡が見つかっている。その墓は中石器時代イスラエル周辺で栄えたナトゥーフ文化の人々のもので、彼らは農耕が始まる前の定住的採集狩猟民であった。そんな彼らがハーブを利用する知恵と文化を持っていたことにも驚く。

ミントもセージも香りが強く、殺菌抗菌、防腐効果に優れているため、遺体の腐敗を少しでも防ぐ意図もあったのだろう。

この2種のハーブは各地で古くから利用されており、ミントの属名「メンタ」はギリシア神話の妖精「メンテ」に由来しているし、セージの方は古いアラビアの諺に”庭にセージを植えているものがどうして死ぬことが出来ようか”という意味のものがある程だ。

■古代ギリシャ・ローマ時代の死者への想い

古代ギリシャ・ローマ時代には、死者の手にローズマリーとマジョラムというハーブを握らせるという風習もあった。

このローズマリーも、薬草界の大スターで、最初に文献に登場するのは約5000年前のくさび型文字の石板であり、主要な古代文明全てで用いられていた。遥か昔から語り継がれているローズマリーの薬効として最も重要なのは、記憶力の向上であり、記憶・思い出の象徴とされているハーブである。また殺菌の効果もあり魔除けとしても使われてきた。

マジョラムもギリシア神話に登場しており、愛と美の女神ヴィーナスが海の水から作り出したとされている幸せを象徴するハーブで、面白いことに婚礼にも用いられてきた。この2つのハーブを握らせることで、死者の思い出を偲び、黄泉の国での幸福を祈ったのであろう。

■仏教における供花と香の文化

仏教と花との結びつきは強い。お釈迦様は前世で修行している最中に仏様に会い青蓮華という花を供えたという逸話が残っている。また、辛い環境の中でも美しく咲く花の姿は、仏様に誓いを立て修行に邁進する人の姿に例えられてきた。また、仏具の「三具足」とは、香炉、ろうそく、花立てであり、花は無くてはならないものなのだ。そしてもちろん花の美しさが極楽浄土を表しているということもある。
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