【葉隠】武士は食わねど高楊枝…しかし生活苦で家臣が強盗、戦国大名・鍋島直茂かく語りき【後編】 (2/4ページ)

Japaaan

就中用之助は究竟一の兵にて、数度の高名したる者なり。その者が米を持たぬ様にして置きたる我こそ大罪人にて候。用之助に咎は少しも無きものを、彼を殺して我は何として生きて居らるるものか。さてさてかはひなる事。」と御夫婦様御落涙にて、御愁歎大方ならず候。……

※『葉隠聞書』第三巻より

「何と、齋藤が?」

報告を受けた直茂は、そばにいた正室のお藤(おふじ。彦鶴姫、陽泰院)に語りかけます。

「嬶(かか。妻)よ、聞いたか。用之助が殺されるそうじゃ」

「えぇ?可哀想に……」

「用之助は、この日本国(ひのもと)と唐土(もろこし)を合わせても代えがたい命を、我らがために何度も捨てて奉公してくれたものじゃ」

「血みどろの槍働きで、肥前一国(現:長崎県)を獲ったと仰っていましたね」

「今日こうして我ら夫婦が豊かに暮らせるのは、彼ら一人ひとりの奉公あってこそ」

「もちろん、忘れたことなどございませぬ」

「中でも用之助は鍋島家中でも随一の武辺者、幾度も忠功を立ててくれた。そんな用之助が今日食う米にさえ困っていたことに気づかなんだ我ら夫婦こそ、大罪人ではなかろうか」

「まこと、恥じ入るばかりにございます」

「このまま用之助を見殺しにして、我らだけのうのうと生き永らえなど出来ようか……」

言葉に詰まった二人は、悲しみのあまり涙を流して泣き出してしまいました。

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