【葉隠】武士は食わねど高楊枝…しかし生活苦で家臣が強盗、戦国大名・鍋島直茂かく語りき【後編】 (3/4ページ)
用之助、何しに殺し申すべきや……
……御意を請け候衆迷惑致し、引き取り罷り帰り、勝茂公へ有の儘に申し上げられ候へば、「さてさて勿体なき事に候。何をがな孝行申し上ぐべしもこそ存じ候に、左様に思召さるる用之助、何しに殺し申すべきや。早々三の丸へ罷り越し、即ち差し免し候通り申し上げ候様に。」と仰せ付けられ、用之助差し免され候段御耳に達し候へば、「子ながらも過分なる事、これに過ぎず候。」とて御本丸の方を御拝み遊ばされ候由。
※『葉隠聞書』第三巻より
「困ったなァ……」
直茂夫妻の悲しみを目の当たりにして、家臣たちは困り果てます。
「殿を悲しませたくはないが、さりとて法を曲げるわけにも参らぬ」
そこで若殿である鍋島勝茂(かつしげ)に指示を仰ぎました。
「左様か。日ごろ親孝行をしたいと思っていたところ、父上がそこまで思っていた用之助を殺す訳にはいくまい。ただちに(勝茂がいる)三の丸へ呼び出し、赦免の旨を申しつけよ」
「「ははぁ」」
果たして解放された用之助は、厚く礼を述べて帰宅します。
「父上、子の分際で出過ぎた真似をお許し下され」
勝茂はそう言って、直茂のいる本丸へ向かって拝礼したということです。