「読み終えたら家族にすすめてほしい」 大注目の青春小説『成瀬は天下を取りにいく』作者に聞く (2/5ページ)
――ここに出てくる敬太、マサル、タクローはまさに40代前半で、小学校時代の同級生たちの再会と仲直りの話です。そして彼らが最後の「ときめき江州音頭」で成瀬・島崎と絡むのもいいなと思いました。「ありがとう西武大津店」や「階段は走らない」はコロナ禍や西武大津店の閉店とまさにリアルタイムで起きていたトピックが背景にあるわけですが、その点で意識したことはありますか?
宮島:そんなにはないですね。むしろ、現実に即した形だから書きやすかったように思います。西武大津店が閉店することについても、やっぱり悲しい雰囲気はあったんですよ。それに、今でも喪失感はあって、本のカバーイラストに西武大津店を入れてもらったのですが、地元・大津の人たちがすごく喜んでくださったんですよね。「入れてくれてありがとう」とか「西武が泣ける」みたいなコメントを見て、やっぱり西武大津店という建物が特別だったことを実感しています。
――西武大津店が閉店するときの宮島さんご自身のお気持ちはどんなものでしたか?
宮島:もちろん残念でしたし、今でも西武があったらいいのにと思うこともあります。普通のデパートではなく、ショッピングモールに近い感じで、書店もあったし、デパ地下的な菓子折りも買えたりして、すごく便利な場所でしたね。市民のシンボルのような存在でした。
――タイトルについてお聞きしたいのですが、この『成瀬は天下を取りにいく』というタイトルは宮島さんご自身でつけられたのですか?
宮島:そうです。実はこのタイトル、「ありがとう西武大津店」を書いていたワードファイルの名前だったんですよ。でも、短編としてR-18文学賞に応募するときに、このタイトルだと分かりにくいと思って、「ありがとう西武大津店」に改題して送ったんです。それが受賞して、連作短編としてまとめる時に、最初から使っていたこのタイトルを本に使ったということですね。