「読み終えたら家族にすすめてほしい」 大注目の青春小説『成瀬は天下を取りにいく』作者に聞く (1/5ページ)
今、旋風を巻き起こしている青春小説がある。
舞台は滋賀県大津市。「かつてなく最高の主人公」成瀬あかりは妙にスケールの大きなことを言う女の子だ。
閉店のカウントダウンが進む地域のシンボル・西武大津店に幼馴染みの島崎あかりとともに通い続け、西武ライオンズのユニフォームを着てテレビ中継に映る。そして西武大津店の閉店を見届けると「将来、わたしが大津にデパートを建てる」と宣言する。
『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社刊)をすでに読んだのであれば、成瀬のキャラクターに心を鷲掴みにされているはずだ。そして、魅力的すぎる主人公と、そんな主人公に振り回されながらも、自分の青春を謳歌する登場人物たちの姿を通して、自分の青春時代を思い出すかもしれない。
著者の宮島未奈さんへのインタビュー後編では『成瀬は天下を取りにいく』というタイトルの秘話や、早くも気になる続編の構想などについてお話をうかがった。
(インタビュー・記事/金井元貴)
■ユニークなタイトル、実は最初につけたワードのファイル名だった――『成瀬は天下を取りにいく』は連作短編ですが、成瀬が出てこない話もあります。それが「階段は走らない」です。
宮島:この「階段は走らない」については、確かにこの中では違和感があるのは分かります。ただ、私自身この話が好きで、ちょっとドラマチックですよね。それに、書いた当時は成瀬シリーズというよりは、西武大津店シリーズでいこうとしていたんです。
「ありがとう西武大津店」を書いた後に、近所の人に西武大津店の思い出を聞いていく中で、本当に最終日に屋上に行ったという人がいたんです。40代くらいの男性の方なんですけど、普段は入れなかったのにその日は屋上が開いていて、そこに店員がいて、最後の西武大津店を見ていたということを教えてくれて、そこから話を膨らませていきました。