気候変動の影響で人間の脳のサイズが縮小しているという研究結果が報告される
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気候変動に関しては様々な仮説(命題)が科学的に検証されているが、今回の研究は「気候変動による温暖化は人間の脳に影響しているのか?」というものだ。
その研究結果によると、どうやら影響があるようだ。
ロサンゼルス自然史博物館の研究者が、過去5万年における気候変動とヒトの脳の大きさとを比べてみたところ、気温が上がると脳が小さくなることが明らかになったのだ。
その影響は私たちの認知機能が低下するほど大きなものである可能性すらあるという。
この研究は、私たちの体が環境から受けるストレスに対してどのように反応するのかを示したもので、温暖化が人間の行動に与える影響を理解するヒントになるという。
・過去5万年でヒトの脳はどう変化したのか?
今回の研究では、過去5万年でヒト属(ホモ属)の頭蓋骨と地球の気温がどのように変化したのか分析し、脳の大きさと気候の変化との関係を調べている。
そのためにロサンゼルス自然史博物館のジェフ・モーガン・スティベル氏は、10の情報源からヒトの頭蓋骨298点の大きさのデータを入手した。
これらをそれぞれが生きていた時代に応じてグループ分けし、ヨーロッパ南極氷コア計画「EPICA」が持つ過去5万年の気候のデータと比較した。
その結果、ヒトの脳は気温が上がるとだんだんと小さくなることがわかったのだ。
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ヒトの脳は暖かい時代ほど小さくなることらしいことがわかる。青点はその時代の平均気温を下回っていた時期におけるヒト脳の推定質量、赤点は平均気温を上回っていた時期における推定質量を示す/Stibel, Brain, Behavior and Evolution, 2023
分析対象となった過去5万年の間には、もっとも寒さが過酷だった最終氷期極大期(約2万年前)が訪れ、地球の平均気温が今よりずっと低い時期があった。
なおこの寒さは、私たちの祖先がアジアからアメリカ大陸へと移住したことにも関係するようだ。
それが終わり、完新世(1万1700万年前~現在)になると平均気温が上昇し、現在にいたっている。そしてこれに合わせるように、ヒトの脳の平均的な大きさは10.7%ほど小さくなっている。
こうした脳の縮小は、気候が変化しはじめて数千年が経つと起きるようで、とりわけ最終氷河期極大期(約1万7000年前)以降にはっきり目立つようになるという。
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・人間の認知に何らかの影響を及ぼす可能性も
こうした進化パターンは、5000年から1万7000年という比較的短いスパンで起きている。
このことからは、今起きている地球の温暖化がヒトの認知に悪影響を及ぼす可能性すらうかがえるという。
「現生人類の脳の大きさがわずかに減少するだけでも、我々の生理機能に重大な影響を与える可能性がある」と、スティベル氏は論文で述べている。
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・気温以外にも考慮すべき様々な要因
また気温だけでなく、雨の量や湿度も脳の大きさを左右するようだ。
その影響は気温ほど強くはないが、乾燥が進んだ時代では、脳がほんの少しだけ大きくなることがわかっている。
ただし気候がヒトの脳の大きさを左右するらしいことが確認できてもそれですべてを説明できるわけではない。
たとえば、捕食関係といった「生態系に関する要因」、どんな植物が生え、それがどれほど光合成を行うかといった「気候の間接的な影響」、あるいは文化や技術のような「気候以外の要因」など、ほかにも脳の大きさを左右するかもしれない要因は考えられるとのこと。
今回の研究では、私たちの脳の大きさが環境ストレスへの反応として変化しているらしいことが示された。
だが、その背後にある具体的な理由はまだよくわかっていない。
脳の大きさが変わるのは、気温の変化によってヒトの生理機能に影響があるからなのか、あるいは気温の変化にともなうまた別の変化が関係しているのか、くわしいことはさらなる研究が必要であるとのことだ。
この研究は『Brain, Behavior and Evolution』(2023年4月4日付)に掲載された。
References:Climate Change Influences Brain Size in Humans | Brain Behavior and Evolution | Karger Publishers / New Paper Links Climate Change to Shrinking Brain Size in Humans : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
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