「愛する男を抱いたこの手がさぞ憎かろう」狂おしく咲き乱れた江戸時代の衆道『男色大鏡』【後編】 (3/4ページ)

Japaaan

 修行中の少年役者との性愛を描いた鈴木春信 の浮世絵。(写真:wikipedia)

「傘持つてもぬるる身」

『男色大鏡』中でも濃密な想いが描かれているとして有名な「傘持つてもぬるる身」

(あらすじ)

親思いの美少年・長坂小輪。ある日出会った武士に推挙され、明石藩藩主の寵童になるも、「権力者のいいなりになって衆道を行うのは本意ではない」と反抗する。

古狸の怪異を退治したことでさらに殿の愛を受けることになるも、殿の寝所の隣で神尾惣八郎という恋人と愛を交わしているところを監視役に見つかってしまう。

詰問されても頑として惣八郎の名前を明かさないことから、嫉妬のあまり小輪憎しとなった殿に左手・右手・首と順番にはねられてしまうが、その処刑の瞬間に小輪は殿に「愛する男を抱いたこの手が、憎いでしょう」と、挑発し処刑される。愛しい小輪の最期を知った惣八郎は、二人の密会を殿に密告した監視役を殺し、小輪の墓の前で切腹して後を追う。

非常に激しい火花が散るような愛と、頑なに命がけで想う相手を守る絆の強さ、そしてどうにも心まで手にいれられなかった殿のむき出しの嫉妬の感情が伝わってくるお話です。

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