「愛する男を抱いたこの手がさぞ憎かろう」狂おしく咲き乱れた江戸時代の衆道『男色大鏡』【後編】 (4/4ページ)

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小輪は愛した男を守り抜くとともに、あえて殿を挑発しその手にかかることで「衆道ではご法度とされている不義」を働き裏切ったつぐないをした……とも想像できるのではないでしょうか。

 小輪の亡骸は、兵庫県明石市の朝顔寺に葬られという。(写真:photo-ac)

「忍びは男女の床違ひ」

 女形の陰間が男性と接吻する様・宮川一笑(写真:wikipedia)

(あらすじ)

美貌や舞の才能などすべてにおいて恵まれていた役者初代・上村吉弥は、ある夜「高貴な方」より屋敷に招かれる。女の姿をして屋敷の奥の間に入り、そこの主人らしき官女と盃を交わし始めたところ、兄君の当主が帰還。当主に問い詰められ、困って女性物のかつらを取ったところ「なおよし」と兄の当主に可愛がられることになってしまったというお話。

男色の兄に、好みの役者を盗られてしまったという女性という、なんともこの時代らしいエピソードです。

武士・町人・歌舞伎役者etc ……それぞれの間で育まれ、ときには狂おしいばかりに繰り広げられた衆道・男色

さまざまな階級や社会の中で日常的なものとして受け入れられいろいろな作品にも描かれ幕末の頃まで続きましたが、文明開化と共に同性愛を悪とする西洋キリスト教が広まったこと、高嶺の花であった遊郭が手軽になったこと、都市部の女性の人口が増えたこと……さまざまな理由から徐々に衰退していったそうです。

最期までお読みいただきありがとうございました。

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