「失われた30年」から抜け出すために企業が注目すべき「見えない資産」 (2/4ページ)

新刊JP

――たしかに、一目で「この会社」とわかるブランドを確立している企業は日本には少ない気がします。

鈴木:一つの会社がゲーム機を作っていたりテレビを作っていたりパソコンを作っていたりすることはありますが、買った後で製品についているロゴを見て、「あ!このテレビとこのゲーム機は同じ会社が作っていたんだ」と気がつくだけで、会社自体のファンになってもらうようなブランド力を持っている企業は少ないですよね。

――ただ、自社がこれまでにやってきた事業で得た知見や無形資産といった、広義の「知財」を生かして新規事業を始めることは、すでに多くの企業で行われているかと思います。日本の場合これがなかなか大きな成果に結びつかないという状況にあるようですが、こうした取り組みを成功させるためのアドバイスがありましたらいただきたいです。

鈴木:経営者が組織の構造を変えることが必要だと思います。どういうことかというと、「知財ミックス」をやっていきましょうとなった時、担当部署は「知財部」になると思うのですが、いわゆる伝統的な知財部は会社が持つ特許の管理をする部署なので、知財を組み合わせて新たな価値を創造するという「知財ミックス」の概念からは外れるんです。

「知財ミックス」は「知財」という言葉を使っていますが、やることの内容を考えると「ブランディング」「マーケティング」「広報」「商品企画」あたりが近く、「経営戦略」「事業戦略」とも直結します。知財を活用していくならこういう部署の人を巻き込んだ形で、従来の知財部とは違った「アクティブな知財部」を作るべきだと思います。

――知財ミックスの事例としてアップルが計画するホテルの事例がわかりやすかったです。一方で、アップルほどの強固なブランド力がある企業はごく一部です。

「「失われた30年」から抜け出すために企業が注目すべき「見えない資産」」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る