酷すぎる!だけど…内裏へ送り込まれた藤原遵子(中村静香)に向けられた心ない侮辱とは【光る君へ】 (3/4ページ)
「御妹の素腹の后はいづくにかおはする」
※『大鏡』より
【意訳】お宅の「産めない」お腹のお后様はどちらにいらっしゃるのでしょうか?
素腹とは(1)空腹(2)不妊女性を指す言葉であり、この場合は間違いなく後者でしょう(仮にも皇族が飢えているとは考えにくい)。
心ないにもほどがある侮辱ですが、公任としては自分から売ってしまった喧嘩であり、何も言い返せないのでした。
終わりに……かの大納言殿、無心の言一度ぞの給へるや。御妹の四条の宮の、后にたゝせ給ひて、始めて内へ入り給ふに、西ノ洞院のぼりにおはしませば、東三条の前を渡らせ給ふに、大入道共も、故女院も、胸痛く思しめしけるに、按察使大納言殿は、后の御せうとにて、御心ちよく思されけるまゝに、御馬をひかへて、「この女御は、いつか后に立ち給ふらむ」と、うち見入れての給へりけるを、殿をはじめ奉りて、その御族、安からずおぼしけれど、男宮おはしませば、たけくぞ。よその人人も、やくなくもの給ふかなと聞き給ふ。一条院位に即かせ給へば、又女御后に立たせ給ひて、内に入り給ふに、この大納言殿の、亮に仕うまつり給へるに、出車より扇をさし出して、「やゝ物申さむ」と、女房のきこえければ、何事にかとて、うちより給へるに、進の内侍顔をさしいでて、「御妹の素腹の后はいづくにかおはする」ときこえかけたりけるに、「先年の事を思ひおかれたるなりけり。