知られざる偉人。世界初の防弾チョッキはポーランドの司祭が発明した (5/8ページ)
これにより初速がおよそ600m/sとなり、リボルバー弾の最大2~3倍もの威力が出る。鉄で覆われたこの弾丸は、厚さ50cmのオーク材の梁を600m離れたところから貫通させることができた。
ゼグレンの防弾チョッキでは弱すぎて、これほどの勢いをもつ発射体を止めることはできなかった。
ゼグレンは、手織りでは恐るべきクラグ・ヨルゲンセンライフルの弾丸を阻止できる防弾チョッキを完成させることはできないことがわかっていた。
その解決策は機械化、つまり効果的な防弾に不可欠な弾力性のあるしっかり織られた生地を作ることができる機械織機にあった。
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M1892クラッグ・ヨルゲンセン小銃試作型 / image credit:public domain/wikimedia・コストの壁、協力者の裏切り
だが、そのような特殊な機器を手に入れるのは至難の業だった。そこで、ゼグリンはヨーロッパへ向かい、自分のビジョンを実現するのに必要な専門知識と機械を探し求めた。
そしてその創意工夫で知られ、さまざまな分野にわたる発明で多大な功績をあげていることから〝ポーランドのエジソン〟の異名をもつ発明家、ヤン・シュクゼパニクと出会った。
シュクゼパニクは、繊維業界プロの専門知識を活用してすぐに仕事に取りかかり、ゼグリンが手作業で作ったものよりも改良された生地を作った。
強化されたこの材料を携えて、アメリカに戻ったゼグリンは、熱心に法執行機関に自分の発明品を売り込んだ。