言葉に出さずとも内なる声を解読する、脳の読み取り装置が開発される (2/4ページ)
なお偽単語が含まれたのは、単語に意味があるかどうかで脳の反応が違う可能性があったためだ。
こうしてデータを収集し、読心デバイスをトレーニングした後、今度は被験者に単語を想像してもらった時の神経細胞の反応から、どの単語の発音を思い浮かべたのかリアルタイムで予測する。
[画像を見る]
オレンジ色で示された、会話に関連する脳の領域、縁上回(えんじょうかい) / image credit:iStock・個人差はあるものの、高い精度で単語を識別することに成功
その結果は被験者によってかなり違ったようだ。
片方の被験者の場合、電極アレイは脳内の単語に対応する神経活動をはっきりととらえ、79%の精度で単語を読み取ることができた。
ところがもう1人の被験者では、読み取り精度はわずか23%でしかなかった。
こちらの被験者は「スプーン」と「水泳」の2単語に強く反応し、各単語に特有の神経細胞反応があまり見られなかった。このことが、読み取り精度の低下につながったという。
またこのことは、脳内の発音には縁上回内のさまざまなサブ領域が関与しており、その処理方法もいくつかある可能性を示唆している。
実際、過去の研究では、想像上のタスクを行う力やこの類の技術を使いこなす力に、個人差があることが確かめられている。
なお頭の中で声を出した時活発になる神経細胞の82~85%は、実際に声を出した時にも活発になるという。一方、脳内の発声でだけ活発になる神経細胞や、同じ単語でも想像の声か実際の声かで反応が違う神経細胞があることも確かめられている。