地球に襲来した大規模な太陽嵐は深海にも影響を及ぼしていた。地磁気の乱れを観測 (1/3ページ)

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2024年5月、史上最強クラスの太陽嵐が地球に襲来し、世界中の空にオーロラのカーテンをなびかせたが、その威力は実に凄まじかった。海の奥底に設置された海流の観測機器が地磁気の乱れを記録したほどだ。
カナダ、ビクトリア大学が主導する海洋観測イニシアチブ「オーシャン・ネットワークス・カナダ(ONC)」が運用する海流観測計によると、もっとも強い磁気の変化は、バンクーバー島沖にある水深25mの観測計が捉えたもので、コンパスの針は+30度から-30度も動いていた。
こうした地磁気の乱れは2.7kmの深海ですら計測された。これは、これまでで最も遠隔地で記録されたものの1つだという。
・海流の流れを示すコンパスに異変
世界有数の海洋観測イニシアチブである「オーシャン・ネットワークス・カナダ(ONC)」は、カナダ周辺の太平洋・大西洋・北極海、さらには南極海の沿岸や深海などで、1万2000個以上の海洋センサーや科学機器を運用している。
OCNが海中に設置する主な機器は、「音響ドップラー流速計(ADCP)」という音波を利用して海流の速さを測定するものだ。このとき、海流の方向を割り出すために、あわせてコンパス(方位磁石)も使われている。