紫式部が才能を隠すため“痴れ者“のフリをした処世術「惚け痴れ」とは?能ある紫式部は爪を隠す! (4/4ページ)

Japaaan

宇治川沿いの紫式部像

そうしているうちに中宮の彰子までもが、

 いとうちとけては見えじとなむ思ひしかと、人よりけにむつまじうなりにたるこそ
 (こんなに打ち解けてお付き合いできるとは思っていませんでしたが、他の人よりずっと仲良くなることができましたね)

という言葉を折に触れてかけてくれるようになったのです。

そして式部はこの項を、次の一文で締めくくっています。

 くせぐせしく、やさしだち、恥ちられ奉る人にもそばめたてられで侍らまし
 (一癖あって、優雅に振る舞い、中宮様が一目置いている上臈の方々からも、不快に思われないようにしたいものです)

一時は宮仕えもままならず「引きこもり」になってしまった紫式部ですが、自分なりのやり方で人間関係を乗り切った式部は大したものです。

そして、職場での人間関係のわずらわしさやストレスは、千年以上前も同じだったんだなと驚かされますね。

参考資料:
歴史探求楽会・編『源氏物語と紫式部 ドラマが10倍楽しくなる本』(プレジデント社・2023年)

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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