天の川銀河を秒速450kmで暴走する超高速星を発見 (4/5ページ)
恒星の残骸である白色矮星は、その重力によってCWISE J1249+3621から物質を吸い取ろうとする。そして最後に大爆発(Ia型超新星)を起こして、哀れな褐色矮星を宇宙に吹き飛ばした。
仮説3:
もともと球状星団にあったが、その中心にあるブラックホールの力で弾き出された。最近のシミュレーションでは、天の川銀河では長い年月のうちにこうしたことが数回ほど起きるだろうことが示されているという。
仮説4:
CWISE J1249+3621は天の川銀河の外からやってきた余所者。ただしこの星が天の川銀河中心からの放射ライン上を、しかも銀河面に沿ってきれいに移動しているため、この可能性はかなり低いと考えられている。 似たような星は案外たくさんあるかもしれない
CWISE J1249+3621のような褐色矮星は、かなり稀であると思われているが、じつはただ冷たく暗いために見つけにくいだけなのかもしれない。
だとするなら、宇宙には似たような天体がずっとたくさんある可能性もある。
バッガーサー氏によれば、このタイプの超高速星はこれまで数十億の星々を調査して、ほんの数十個しか見つかっていないという。
だがCWISE J1249+3621が太陽の10,000倍も暗く、そのほとんどの光が赤外線であることを考えれば、ある意味当然かもしれないのだ。
一方、銀河のほとんどが低質量星で、そのうちの5分の1が褐色矮星であるという事実を踏まえるなら、CWISE J1249+3621のような星はもっとたくさあるのだろうと推測される。
なにしろ質量が小さいゆえに、簡単に放り投げられてしまうのだから。
バッガーサー氏は現在、CWISE J1249+3621の大気を詳しく分析し、その化学的な手がかりからこの星の起源に迫ろうとしている。
この研究の査読前論文は現在『arXiv』(2024年7月11日投稿)で閲覧できる。