天の川銀河を秒速450kmで暴走する超高速星を発見 (1/5ページ)
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宇宙を旅するその星は、”出来損ない”かもしれないが、速度に関しては超一流だ。「CWISE J1249+3621」と名付けられたその星は、秒速450kmで天の川銀河を駆け抜ける「超高速星」だ。
「褐色矮星」と考えられているこの星は、幸いなことに、地球ではなく、天の川の中心に向かって突進している。あまりの速さゆえ、最終的には天の川銀河から脱出する可能性もあるという。
さらに天文学者にとって興味深いのは、質量が太陽の約8%と、恒星と褐色矮星との境界にあることだ。
しかも地球から400光年と、天文学的にはかなり近くに存在するため、その大気を分析すれば起源に関するヒントが可能性すらある。
・宇宙を暴走している超高速な星
「CWISE J1249+3621」は、アマチュア天文学者らによる「Backyard Worlds: Planet 9」というプロジェクトによって発見された。
これがきっかけで、今度はプロの天文学者がハワイにあるケック望遠鏡でさらに調査することなった。
そして明らかになったのは、その質量が恒星と褐色矮星の境界にある小さなもので、おそらくは天の川銀河の重力を振り切れるほどの高速で移動していることだ。
カリフォルニア大学サンディエゴ校のアダム・バーガッサー氏は、これについて「超高速星(hypervelocity star)」と呼ばれる天体であると説明する。
ただでさえ珍しいタイプの星だが、さらに珍しいことに、CWISE J1249+3621は、天文学的に見ると私たちに非常に近い。
これまで発見された超高速星のほとんどは太陽から数千光年も離れているが、CWISE J1249+3621はほんの400光年の先にある。
その大気を分析したところ、この星には普通とは違う化学組成があることが判明している。