帰ってきた言葉のタイムカプセル。自分の言葉が導いた選択と別れ【海のはじまり#9】 (2/3ページ)
■タイムカプセルのような水季の言葉
夏の後押しもあり、弥生は水季(古川琴音)の手紙を読むことを決意します。
「夏くんの恋人」にあてられたその手紙。
その中に綴られていたのは、面倒なことに巻き込んだことへのお詫び。中絶するつもりだったこと。それは相手のことを考えすぎていたためで、珍しく他人の言葉に影響され、自分が幸せだと思える道を選択して、それが間違いなく幸せだったと今言えること。
そして、その先には「他人に優しくなりすぎず、物分かりのいい人間を演じず、ちょっとズルをしてでも自分で決めてください。どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。海と夏くんの幸せと同じくらい、あなたの幸せを願っています」の言葉。
そう、これは弥生が産婦人科で、中絶を選んだ後悔をノートに綴ったのと全く同じメッセージ。弥生はこれを読んで、水季が影響を受けた他人が弥生だったことに気づいたでしょうか。
そして、あの時したためた自分の言葉が、タイムカプセルのように今弥生のもとに帰ってくることで、弥生は自分の選ぶ道がはっきりと見えたのでした。
■弥生の決意と、最後の2人きり
「最初は3人で楽しかった。けれど、どこかに水季の影があり、3人ではなくなっていた。水季から奪い取ったような気持ちや、水季を知らない自分だけが仲間はずれのような疎外感、水季への嫉妬が生まれ、いつしか3人でいることが辛くなっていた。海と夏のことは好きなのに、いろんな感情が邪魔をして、2人でいると自分が嫌いになる」
自分の気持ちをはっきりと伝えた弥生は、「やっぱり夏と2人でいたかったし、海ちゃんのお母さんにはならない」と、夏に別れを告げます。
夏も「2人のどちらかを選ばなきゃいけないなら海ちゃんを選ぶ」とはっきりと伝え、2人の進む道がはっきりと分かれたのでした。
駅まで送るまでの道すがら、夏が弥生の手を握ったのが印象的でした。