110歳まで描かせてくれ!浮世絵に生きた画狂・葛飾北斎の恐るべき執念を見よ【大河べらぼう】 (3/5ページ)
73歳になって、少しは動物や植物の姿がつかめるようになりました。この調子で行けば、86歳でようやく一人前となり、90歳で絵の何たるかを理解できることでしょう。
そして100歳で神妙の域に達し、110歳まで生きられたら、筆先の一点一筆に生命が宿るはずです。
なので長寿の神様、お願いですから私にそれだけの寿命をお与えください。そうすれば、いま私の言ったことがホラでないと証明できるでしょう。
以上につき、画狂老人が大真面目(※)に述べます。
(※)画狂老人の号については、画狂老人卍までが号なのか、あるいは画狂老人が卍に述べているのかは解釈が分かれるところでしょう。
卍はいわゆるマジ(真面目)の意であり、平成末期から令和初期にかけて一部で聞かれた俗語「マジ卍」に通じるものを感じます。
ここでは北斎が、自身の回顧録と人生計画?を大真面目に述べたものと解釈しました。
布団をかぶり、這いつくばるように絵を描き続けた北斎(右)。露木為一「北斎仮宅之図」
……北斎が『富嶽百景』の初版跋文を書いたのは75歳。つい数年前までの作品は、取るに足りないものだと断言しています。