大河『べらぼう』蔦屋重三郎・瀬川・鳥山検校、それぞれの「夢噺」と「苦悩」を回想しつつ考察【後編】 (6/7ページ)
瀬川の不貞を疑い厳しい言葉を投げつける鳥山検校。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
「蔦重はわっちにとって光でありんした。」その言葉に、腹を括った瀬川は花魁時代の昔の廓言葉に戻ります。そこにいるのは瀬以ではなく、男前の5代目花魁瀬川でした。
「仰せの通りでござりんす。」「蔦重はわっちにとって光でありんした。あの男がおるならば、吉原に売られたことも悪いことばかりではない。ひとつだけはとてもいいことがあった。そう思わせてくれた男にござりんした。」
「重三を斬ろうがわっちを斬ろうがその過去を変えることはできんせん。」
と今までの取り繕ったような態度は捨てて、思い切り本音を語ります。さらに、そんな自分の態度が検校をいつも傷付けていることも誤るのが、察しがよく正直な瀬川らしいところ。
「主さんこそ、わっちをこの世の誰より大事にしてくださるお方。人の心を察し過ぎる主さんを、わっちのいちいちが傷つけているということも」。
暗闇の中で孤独を感じていた鳥山検校自身にとって、この瀬川のセリフは胸に響いたことでしょう。
彼自身が瀬川と出会い、彼女が「光」だと感じ、一緒に暮らすうちに自分のことだけを想い人生に寄り添ってくれるという「夢」を見ていたのですから。