狼に片腕を噛み砕かれ…死闘の結果は?柳田国男『遠野物語』が伝える”命懸けの一騎討ち” (2/4ページ)
「大きくなれば必ずや害をなすだろうから、今のうちに殺してしまえ」
ということで、彼らは狼の子供を二匹殺し、残る一匹を土産に持ち帰ったそうです。
しかしこれで終わるはずはありません。我が子を奪われた母狼の怒るまいことか。
「……ッ!」
この怨み、晴らさでおくべきか……やると決めたら行動は早い。何と母狼は、その日の内に飯豊村へ夜襲をしかけ、以来連日にわたって馬を食い殺すようになったのです。
「ウチの馬が全滅だ!」
「お前もか!」
飯豊村では狼による被害相次いだものの、他の村では人馬の被害が一切出ませんでした。
母狼は「どこのだれが我が子を殺し、奪って行ったのか」をキッチリ認識していたのですね。
飯豊村でも警戒を強めたでしょうが、それでも母狼は警備の死角を狙って、着実かつ残忍に馬を殺し続けるのでした。
ついに直接対決へ
「……狼狩りをするよりあるまい」
怒りが収まらない母狼の被害に苦しむ飯豊村では、ついに決断が下されます。
元は自業自得とは言え、このまま馬を殺され続ける訳には行きません。
やるとなったら情けは無用。村じゅうから力自慢たちをかき集め、狼狩りに出発しました。
その中に鉄という男がいまして、言及こそないものの、恐らく彼は狼の子たちを殺したり連れ去ったりに関与したものと思われます。