狼に片腕を噛み砕かれ…死闘の結果は?柳田国男『遠野物語』が伝える”命懸けの一騎討ち” (4/4ページ)
広き萱山なり。村々より刈りに行く。ある年の秋飯豊村の者ども萱を刈るとて、岩穴の中より狼の子三匹を見出し、その二つを殺し一つを持ち帰りしに、その日より狼の飯豊衆の馬を襲うことやまず。外の村々の人馬にはいささかも害をなさず。飯豊衆相談して狼狩をなす。その中には相撲を取り平生力自慢の者あり。さて野に出でて見るに、雄の狼は遠くにおりて来たらず。雌狼一つ鉄という男に飛びかかりたるを、ワッポロを脱ぎて腕にまき、やにわにその狼の口の中へ突き込みしに、狼これを噛む。なお強く突きいれながら人を喚ぶに、誰も誰も恐れて近寄らず、その間に鉄の腕は狼の腹まで入り、狼は苦しまぎれに鉄の腕骨を噛み砕きたり。狼はその場にて死したれども、鉄も担がれて帰り程なく死したり。
※『遠野物語』より
今回は我が子を殺された母狼の復讐と、一騎討ちのエピソードを紹介しました。
どんな生き物であっても、我が子が大切なのは同じこと。いたずらにその生命を奪われれば、復讐したくなるのも道理でしょう。
人間が自然と共生する上で、どう接するべきかを考えさせられます。
※参考文献:
柳田国男『遠野物語』集英社文庫、2011年6月日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan