大河「べらぼう」蔦重と誰袖それぞれの“夢” 〜灰降る日本橋で生まれた奇跡の名シーンを考察【前編】 (4/7ページ)
浅間山の天明大噴火を描いた「夜分大焼之図 public domain
鶴屋の誠意の証「富士山形に蔦の葉」の暖簾日本橋通油町での灰の除去ゲームで、スピードアップのために川に飛び込んでしまった蔦重。「溺れている!」と皆で引き上げた場面を見て、思わず鶴屋は笑います。
今まで鶴屋の「微笑み」は、相手よりも余裕ある自分を演出する、いわば武器のようなものだったと思います。
けれども、びしょ濡れになった蔦重を見て笑ったときの笑顔は、本当の笑顔。敬服の思いや好意が伝わるようでした。
本屋・丸屋の女将てい(橋下愛)も、そんな蔦重のくったくなく人と接する性格を認め、「一緒に本屋をやる」ことを決め祝言をあげます。
そして、駿河屋で蔦重と てい の祝言が執り行われている中、鶴屋が突然来訪。挨拶後に「通油町よりお祝いの品をお贈りいたします」と桐の箱を差し出しました。
蔦重が包み紙を開けると、その中には蔦屋の商標「富士山形に蔦の葉」が染め抜かれた真新しい暖簾が。これは感動した場面でした。
「暖簾を守る」「暖簾にかかわる」などという言葉があるように、商家にとって暖簾は看板であると同時に、店の信頼にかかわる大切なもの。それをわざわざ新しくあつらえて贈ってくれるという粋な行為に、鶴屋の本気が伝わってきました。