身分詐称で切腹に!江戸時代の武士が“ニセ息子”で挑んだ最後の賭けと悲惨な末路 (2/5ページ)
「しかし今すぐと言う訳にも参らぬ。相応に支度があるゆえ、今しばし待たれよ」
「……相分かった」
「して、モノは相談なんじゃが……」
平川家も懐が厳しいと言うので、新九郎の生活費を粕谷家で負担することとなりました。
金大夫としては手痛い出費ですが、これも養子をもらうため……と辛坊すること早6年。そろそろ金大夫も苦しくなってきます。
「なぁ平川殿。いくら何でも支度に時をかけ過ぎでは?」
今にも堪忍袋の緒が切れそうな金大夫に対して、六左衛門は蕎麦屋の出前。
「いやいや、ようやく支度が調い申した。それでは新九郎を養子に出すゆえ、これまで当家で立て替えていた支度金をお支払い願いたい」
「……!?」
6年間も生活費を負担させられた挙句、トドメに支度金まで出せとはいい度胸ではありませんか。
しかし、ここで卓袱台をひっくり返しては、ここまでかけた費用がすべて水の泡となってしまいます。
「これが……最後ですぞ?」
まさに血を吐くような思いで支度金を支払った金大夫。もう心身ボロボロですが、これでようやく念願の養子が……。
来ませんでした。
心身ボロボロの金大夫は……。