『べらぼう』”禁句”をぶつけた蔦重の戯けにプライド高き松平定信が大激怒!互いの胸中を考察【前編】 (5/6ページ)
それゆえに論語の精神で、自分を厳しく律することが必要だ”と教えています。
蔦重のいうように定信は、「人は弱い」ということは、理屈上では分かっているはずです。
「そりゃそうだ。五つで『論語』を諳じられた世に希な賢いお方に…ご無礼いたしました」という蔦重の言い方。「お前は、論語の世界だけで、現実の世の中を知らねえだろ」という、非難めいた冷笑ニュアンスを感じたようで、ぐぬぬと怒りの表情になる定信です。
「これは御存知で?近頃、“白河の水の清きに魚住みかねて元の濁りの田沼恋しき”なんて詠む輩もいるんですよ~」と、実に、ドストレートな反撃を与えます。「田沼の名前だしちゃったか〜怒るぞこれは!」と、そばにいた奉行が思わず定信の顔を伺ったのがおもしろかったですね。
ドラマではこの瞬間、定信を背後から写しているので表情はわからないのですが、ビキビキと青筋を立てて目を剥く定信の表情が、目の前に浮かぶようでした。
さらに蔦重は、とぼけて「そういう揶揄する民はけしからんです」と言い「越中守様が、どぶさらいをやってくださっているから」と嫌味な言い方でほめそやします。
こういう嫌味な言い方をさせると、蔦重は天下一品ですね。泥水啜って這い上がってきた商売人に、坊ちゃん育ちの定信がかなうわけもありません。
さらに、蔦重は「だから、あくまでも教訓だと好色本をだせば越中守様はやはりわかっている!と評判になるはず」と、無茶苦茶な理屈をつけます。