江戸時代の若者のデートは「見世物小屋」!?――深川の繁華街に見る、庶民的娯楽と男女の距離感 (4/4ページ)

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芝居や見世物、川辺の行楽などを通じて、江戸の都市空間が若者を含む庶民の社交の場であったことは、多くの風俗画や随筆が伝えています。人が集まる場所には、自然と会話が生まれ、関係が生まれ、ときに感情の動きも生じます。そうした意味で、見世物小屋もまた、人と人とを結びつける場の一つであったと言えるでしょう。

もっとも、見世物小屋を現代の「定番デートスポット」と同一視することはできません。
それは恋愛のために特化された場所ではなく、あくまで日常の延長線上にある娯楽の場でした。

けれども、深川の通りを並んで歩き、たまたま立ち寄った見世物小屋で同じものを見て、同じ場面に驚いたり、笑ったりする――。

その帰り道に、特別な言葉を交わしたわけでもなく、何か劇的な出来事があったわけでもない。それでも、「今日は悪くなかったな」と感じる瞬間が、確かにあったはずです。

見世物小屋は青春の場だったのか

見世物小屋は、恋を始めるための舞台ではなかったかもしれません。しかし、恋が芽吹く前の、名前のつかない時間を過ごす場所としては、十分に役割を果たしていたのでしょう。

江戸の町にも、そうしたささやかな青春が、音もなく息づいていました。それを想像するだけで、深川の喧騒が、少しだけ身近に聞こえてくるような気がします。

参考文献

喜田川 守貞 (著), 宇佐美 英機 『近世風俗志 1 守貞謾稿 』(1996 岩波書店) 竹内誠 監修 『図説江戸5 江戸庶民の娯楽』(2003 学習研究社)

トップ画像:「雪中相合傘」鈴木春信 画 (Wikimedia Commons より)

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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