【豊臣兄弟!】さよなら直。小一郎が“帰る場所”を失った夜…情緒が揺さぶられた衝撃展開を考察

Japaaan

【豊臣兄弟!】さよなら直。小一郎が“帰る場所”を失った夜…情緒が揺さぶられた衝撃展開を考察

「何やっとんじゃ、このたわけが! 何じゃこのありさまは! 直! 直! 起きろ! 直! 」……

こんなに絶望と悲しみに満ちた「このたわけが!」というセリフ、初めて聞きました。

もう二度と目を覚まさない(白石聖)の亡骸を揺さぶる小一郎(仲野太河)の慟哭。

さっきまで笑っていた大切な人の“命”が奪われ、もう会話も触れ合うこともできない。予想もしなかった出来事にどうしていいのかわからず、運命の理不尽さに怒りすら込み上げる……そんな場面でした。

「“命”と“生”が隣り合わせの、これが戦国時代だ」という声もあります。

けれど、普通に暮らしてきたのに、病・怪我・事故・思いもよらない爆撃や攻撃などであっという間に失われる“命”の儚さを感じるのは、現代でも同じことです。

ドラマ始まって以来の一番の悲劇とも言ってもいい展開に、悲しみの声がSNSでも溢れていました。

NHK大河「豊臣兄弟!」第8話『墨俣一夜城』。直の死という衝撃的な展開が描かれました。

『豊臣兄弟!』直ロスが重すぎる…墨俣一夜城まさかの自ら爆破で炎上!ほか…第8回解説

祝言を挙げることなく殺された直、「唯一の帰る場所」を失った小一郎、一夜で去った秀吉の墨俣一夜城、なぜかキョドっていた天才軍師・竹中半兵衛(菅田将暉)との出会い……など、情緒が揺さぶられ過ぎた今回の第8話を振り返ります。

照れながらも嬉しそうな直と小一郎の幸せそうな風景。NH大河「豊臣兄弟!」公式サイトより

やっと「豊臣家族の輪」の中に入れたのに

第6話『兄弟の絆』、第7話『決死の築城作戦』と2話続いて、直の存在や心情がクローズアップされてきました。“別れの予感”フラグがあれこれ立っていましたが、今回、とうとう悲劇の結末を迎えてしまいました。

6話で、藤吉郎が寧々(浜辺美波)にプロポーズし、兄弟・姉妹とその夫・母が大喜びでお祝いの“豊臣家族の輪”を作っていたとき、ひとり離れたところにいて入れなかった直には、寂しさ・孤独・悩みなどの気配が漂っていました。

その後、小一郎への「お別れ宣言」をし、突然の熱病に倒れてしまいます。

前回、鈍感な小一郎が初めて愛する人の“命”の無事を「ただ祈って信じて待つしかない」という辛さを味わい、その思いをずっと抱えていた直の心情を身をもって理解しました。

今回は冒頭から、やっと結ばれた二人が迎えた幸せな朝の場面でしたね。直は豊臣家族の“輪”にもすんなり入れるようになったのに。

やっと遠慮なく“豊臣家族の輪”に入れた直。NH大河「豊臣兄弟!」公式サイトより

紐につけた銅銭で包んだおにぎりで命拾い

墨俣砦作戦のために出かける小一郎に、直はおにぎりを作り竹皮に包み青と白の編み込み紐に銅銭を数枚(6枚?)付けて渡しました。
(実はこのおにぎりの包み、オープニングのタイトルバック(ちょうど『とも 宮澤エマ』の画面のとき)に登場します。)

この紐付き銭に、「これは六文銭(※)だ。小一郎が戦死しても無事に川を渡れるように願ったんだ」とする声や、「六文銭は、真田家の『不惜身命』の覚悟を示す家紋。命を惜しまずに戦いの覚悟をしろ!という直のメッセージ」など、いろいろな声があがりました。

個人的には「小一郎が生きて帰ってれれば十分」な直が、三途の川の渡し賃を渡すのも縁起が悪いし、ましてや「戦う覚悟を!」と願うはずもないと思います。

以前、直は小一郎に用事を頼んでは小銭を渡していましたが、紐に小銭を付けて家の扉にぶん投げたことがあり、それを思い出して付けたのではないかという気がします。(小一郎もこれを見て微笑んでたし)

小一郎は、砦作りの最中、握り飯を落とし拾おうとかがんだ瞬間、立っていた場所に銃弾が撃ち込まれます。握り飯を拾いつつ「直に助けられたわ」と。

もし、あの銭が「三途の川」の渡し賃という意味だったとしたら……“必要なのは直のほうだった”なんて悲しすぎます。

※六文銭:「三途の川」を渡る時に渡す賃金で、この金を払えば無事にあの世に渡れるという。

銭を付けた紐でおにぎりの包みを縛った直。NH大河「豊臣兄弟!」公式サイトより

父と和解するも「百姓同士の戦」で命を落とす

故郷に帰り父親の坂井喜左衛門(大倉孝二)に、小一郎と結婚する旨を伝えた直。

坂井喜左衛門は、ドラマでは「尾張国中村で大きな影響力を持つ土豪」と紹介されています。史実では、尾張国守山城主・織田信次に属した家臣で、守山城における年寄衆の一人として、信長方への転進に至る過程で重要な役割を果たした人物です。

喜左衛門は、娘の結婚を祝福した態度を見せつつ騙して直を蔵に閉じ込めました。怒った直でしたが、子供時代に蔵の棚が倒れてきたとき、父が身を挺して自分を守ってくれたことを思い出します。(ちなみに、この幼少期の直(泉谷星奈)は『海のはじまり』の海ちゃんだったのにびっくり。聖さんにそっくりでしたね)

お供で付いてきた姉ともの夫弥助(上川周作)が、蔵の扉をぶち破り助けてくれるのですが、そのまま逃げず、「言い残したことがある」と、改めて部屋に戻る直。

「言い残した言葉」は、父に対する恨みつらみや絶縁宣言ではありませんでした。

「いざというときはいつだって自分のことより私のことを大切にしてくれた。今までありがとうございました」

と頭を下げました。

「お前が幸せならそれでよいわ」と結婚を認めた喜左衛門が、「文はできるだけよこしなさい。正月には帰ってきなさい。あと盆と借入の時。あ、あと祭りの時と」と、どんどん条件を増やしていく場面は、娘のことを本当に愛しているんだなと泣き笑いでした。

「ありがとう、とと様。」

このとと様が、娘は殺されたと知ったら…

直の父親・坂井喜左衛門。NHK大河「豊臣兄弟!」公式サイトより

侍になり「百姓生活の過酷さ」に目が向かなくなっていた

弥助とともに帰路についた直は、本当に幸せそうでした。手には「豊臣兄弟!」の象徴である「風車」をもって。

以前もご紹介したのですが、この風車はドラマのオープニングやポスター、本編の中でも登場しています。これは、兄弟をイメージするアイコンとして藤吉郎は瓢箪、小一郎は風車としたそうです。(NHK名古屋局の豊臣兄弟ポスター撮影コーナーの説明書きより)

そのカラフルな風車を持っている直に、別れの予感がしました。

小一郎のシンボル「風車」。NHK大河「豊臣兄弟!」公式サイトより

渇水で不作に苦しむ百姓同士の戦いに遭遇した直と弥助。直は、倒れた子供に思わず走り寄りその体に覆い被さり背中を斬られてしまいます。

子供を庇った女性を背後から斬る(斧で殴った?)など、“なんて卑怯な”と怒りに震える場面。

その前に、村で弥助は久しぶりに小一郎の友人だった玄太(高尾悠希)に再会していました。玄太は「藤吉郎はそんなに偉くなったのか!じゃったらなんとかしてほしい。ここのところ日照り続きであちこちで水の取り合いで争い続きだ。」と言います。

「あいつら、今美濃攻めの真っ最中じゃ。こんな小さきことにはかまってられんわ!」と返す弥助。

「わしらにとっては生きるか死ぬかじゃ」と玄太。

その「こんな小さきこと」が直の命を奪うとは、弥助は想像もしなかったでしょう。

この弥助の、ある意味いつの間にか身に付いてしまった“奢り”は、小一郎そのものの“奢り”。

盗賊どもに村を荒らされ、友人を惨殺され、「なにが信長じゃ!わしらの作った米を食わねば死んでしまうくせに」と侍に対する怒りや、虫ケラのように殺される運命の百姓という立場への怒りを抱えていたのに。

いつのまにか、信長や兄者に付いて働いていくうちに、出世することが優先し、水のある無しで争う百姓生活への関心が薄れ、「戦いの現場で命張る侍が偉い」(たしかに命懸けでしたが)という意識に自然になっていくのは致し方ない変化なのかもしれません。

以前の小一郎なら、百姓同士の血で血を洗う争いを知ったら、その戦いを止め解決をしただろうに。出世して、衣食住に不自由しなくなり、いつしか「百姓の生活の過酷さ」を忘れていたことが、結果的には直の死を招いてしまったという気もします。

まるで眠り姫のように美しい直の亡骸。掛けられているのは白い花嫁衣装です。あの混乱の中、助けることができなかった自責の念で、弥助は「せめてこれだけでも」と、婚礼衣装と直の亡骸を必死で連れて帰ってきたのでしょうか。

「わしは生きとるぞ。わしは約束を守ったぞ。起きてくれ、直」と慟哭する小一郎。

辛い場面でした。

もの言わなくなった直の亡骸に話かける小一郎。NHK大河「豊臣兄弟!」公式サイトより

大切なのは「戦いの手柄」ではなく生きている“命”

幼い頃、父が自分の上に身を投げ出して守ってくれた“命”

その守られた“命”を、倒れた子供を守ったことで失った直。

そのとき、藤吉郎は小一郎に「ようやった。よう生きて戻った。それだけでお手柄じゃ!生きていればまた次がある」と“命”あることを喜びました。

直はオリジナルキャラクターですが、百姓の小一郎が「秀長」になるまでの創世記を支えた、大切な人物 でした。

小一郎に村を出る決心をさせ、「侍」という存在にうんざりし村に帰る!と決めた小一郎に夢を思い出させ。

戦場の過酷さに「死にとうない」と泣いた小一郎を「生きているだけで十分じゃ」と迎え。そして、小一郎に「自分が帰る場所は唯一直だけだ」と気付かせ。

その帰る場所を失った喪失感、最愛の人を守れなかった無念さ、故郷の百姓の間で起こっていた深刻な事態に気が付かなかった残念さなどは、生涯小一郎の心に刻まれるはず。

豊臣秀長という人物は、史実でも「寛仁大度(情け深く人を受け入れる器の大きい人物)」と言われています。

直は、その秀長の土台を作り上げた存在といえるでしょう。

最後に

第8話『墨俣一夜城』。「一夜で建てた城」ではなく、「一夜で去ったから墨俣一夜城」というストーリーのかっこよさに痺れました。

あっという間に豪快に走る炎と燃え盛る城、少年漫画の「爆弾オチ」でしたが、振り向かない藤吉郎の潔さにも魅せられました。

そして、こっそりと部屋の中から紙片を渡したり、暗闇でいきなり「あのぉ」と小声で話かけたり、なにやら陰キャな感じで初登場した竹中半兵衛。

以前、「『豊臣兄弟!』菅田将暉ビジュアル公開!軍師・竹中半兵衛……」という記事で書いたように、横顔が繊細な美しいルックスの菅田・半兵衛でしたね。

憧れだった軍師・諸葛孔明のイメージカラーといわれる「青緑」の着物をまとっていました。次回、この美しき天才軍師・半兵衛を、豊臣兄弟は粘り強く「三顧の礼」で味方に引き入れていくのでしょうか。

今回、消えたのは、兄・秀吉の墨俣一夜城だけではありません。弟・小一郎の大切な「帰る場所」もまた、この夜、静かに消えてしまいました。

さよなら、直。小一郎の心の中で、あなたの存在が、永遠に味方として生き続けますように。

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