工場の外へ広がる「自動化フロンティア」――滋賀の中堅FA企業が挑む”another FA”は普及するか (1/3ページ)
工場内のラインを効率化する「Factory Automation(FA)」は、戦後日本のものづくりを支えてきた中核技術である。だが近年、人手不足と高齢化が建設・インフラ保守・物流など”工場の外”にまで波及するなか、屋外現場や社会インフラへ自動化を持ち込もうという動きが静かに広がりつつある。
滋賀県甲良町に本社を構える株式会社ファーストシステム(従業員159人)は、その潮流を象徴する一社だ。2024年9月に代表取締役へ就任した犬飼孟氏は、同社が長年蓄積してきたFA・自動機の技術を工場外へ展開する「another FA」を掲げる。高速道路でのコーン設置・回収を担う装置の試作開発はその第一歩である。
ただし、屋外・インフラ領域の自動化は、工場内とは比較にならないほど条件設定が難しい。構想がそのまま市場に根づくかは、まだ見通せない段階にある。
「機械を入れること」が目的ではない――FA企業が語る自動化の出発点ファーストシステムは、専用機や検査設備をオーダーメイドで設計・製作し、構想検討から機械設計、電気設計、PLC制御、据付、調整、導入後の保守までを社内で一貫して担う体制を敷く。加えて、試作や小ロット生産、工程設計、治工具製作、組立、検査などの製造請負にも対応する。2025年3月時点の従業員数は159人で、FA・自動機と製造受託の二本柱が事業基盤となっている。
犬飼氏は、自動化について「機械を入れること自体が目的ではなく、現場の困りごとをどう解くかが出発点になる」と話す。省力化や品質安定、人手不足対応といったテーマは現場ごとに事情が異なり、既製品だけでは解決しないケースも少なくないという。
ただし、こうした個別対応型のFA案件は、開発期間が長期化しやすく、初期投資や保守負担を含めて発注側の判断材料が多い。自動化ニーズが社会全体で高まっている一方で、案件化までに時間を要する点はこの分野固有の難しさでもある。