なぜ都市部で「園庭を知らない子ども」が増えているのか? 私立保育所の7割が園庭なしの危機と、幼児教育が向き合う「体験格差」 (2/3ページ)
植物との能動的関わりは子どもの記憶にどう定着するのか――「センス・オブ・ワンダー」を具現化する設計とプロジェクト



同園の「第二園庭」は、自然界の神秘に触れる子どもの傍らに、共感する大人が寄り添うことを重視している。その象徴が、園に存在する専属のガーデナーだ。植栽や草花遊びを通じ、保育者や子どもたちへ自然への関心を伝染させていく独自の役割を担っている。
活動は季節と連動し、収穫したベリーをジャムにしたり、ハーブをスワッグに加工したりと、園庭の体験を室内の活動へ繋げる。こうした一連のプロセスが、単なる一過性の遊びを、子どもの確かな記憶(中期記憶)へと昇華させていくという。
さらに今年度は、採取した植物を石鹸に封入するアートプロジェクトや、植物をキャラクター化して物語を届ける「Wonderland Story」を始動。デジタルメディアやファンタジーを入口に、実在する自然への興味を育む先進的な試みを展開している。
こうした取り組みには資金や企画力が必要であり、すべての園で模倣できるわけではない。しかし、モデルケースとしての同園の挑戦は、幼児教育の新たな可能性を提示している。
「114個」のブラックベリーが繋ぐ時間と子どもの成長――現場の保育者が目撃した五感の開拓
豊かな園庭環境は、子どもたちの行動に具体的な変化をもたらしている。現場の保育者からは、驚きに満ちた事例が数多く報告されている。
年少児が落ち葉の変化を自ら観察し、鳥の糞から「ブルーベリーを食べた犯人」を推察する。年中児が遊具から植物へと関心を移し、拾った実を分け合う社会性を見せる。