製造業のIoTはなぜ「PoC止まり」になるのか 現場定着を阻む3つの壁 (2/3ページ)
例えば、設備ごとに異なるデータ形式をどう統合するのか、既存システムとどのように連携するのか、セキュリティをどこまで統一するのかといった課題だ。初期段階で拡張性を考慮せずにシステムを構築すると、後から大幅な改修が必要になる可能性もある。そのため、「小さく始める」ことと、「将来の拡張を見据える」ことを同時に考える必要がある。
導入後の「運用」を誰が担うのかIoT導入後にもう一つ問題になるのが、運用体制だ。
製造現場では、設備や制御技術に詳しい担当者と、ITシステムを担当する部門が分かれていることも多い。
現場側は設備に詳しいがITシステムには詳しくない。一方、IT部門はシステムを理解していても、現場の細かな業務までは把握していない。こうした分断が、IoT活用を難しくする要因になる。
NSWでは、構想策定からシステム導入、その後の運用までを支援しているという。
根本氏は、初めからすべてを社内で対応しようとするのではなく、外部の専門家を利用しながら、自社で判断できる領域を徐々に広げていく方法も現実的だと話す。
ただし、外部企業へ任せ続ければ、自社にノウハウが蓄積されにくくなる。
どの業務を外部に任せ、どの部分を自社で担うのか。さらに、いつ外部支援から自走へ切り替えるのかをあらかじめ考えておくことも重要になる。
IoT導入の先にあるAI活用製造現場で収集されたデータは、設備の監視だけでなく、その先のAI活用にもつながる可能性がある。
例えば、設備故障の予兆検知や生産計画の最適化、デジタルツインによるシミュレーションなどだ。
ただし、AIを導入すれば自動的に高度な分析ができるわけではない。そもそも収集しているデータの品質が低かったり、設備ごとに形式が統一されていなかったりすれば、AIを活用する際にも問題になる。つまり、現在のIoT導入は、将来的なAI活用を見据えたデータ基盤づくりという側面も持っている。