なぜ従業員は「本当の退職理由」を語らないのか 見えない不満を拾う外部窓口の役割 (1/4ページ)
「一身上の都合で退職します」
会社側にはそう伝えていても、それが本当の理由とは限らない。
上司との人間関係、仕事量への不満、評価への疑問。さまざまな問題を抱えていても、退職を決めた段階では「あえて会社に伝える必要はない」と考える人もいる。
企業からすれば突然の退職に見えても、本人の中ではその何カ月も前から不満が積み重なっていたということもある。
こうした表に出にくい声を、退職に至る前にどう把握するのか。
企業向けの外部相談窓口「サポキタ」を運営する株式会社コモンズリンク代表取締役の田畑優子氏に、従業員が社内で本音を話しにくい理由と、第三者が間に入る意味について聞いた。
半数以上が「本当の退職理由」を伝えない2024年に公表された民間調査では、退職経験者の54%が勤務先に「本当の退職理由を伝えなかった」と回答している。その理由として、人間関係など職場に対する不満が挙げられていた。
会社側が把握している退職理由と、本人が実際に感じていた理由にずれが生じることは珍しくない。
同じような問題は、ハラスメント相談でも見られる。
厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」では、勤務先でパワーハラスメントを受けたと回答した人のうち、その後の行動について「何もしなかった」とする回答も一定割合を占めている。
相談窓口が存在していても、必ず利用されるわけではない。
「相談したことが上司に知られるのではないか」「評価に影響するのではないか」「言ったところで何も変わらないのではないか」。
そう考えれば、あえて声を上げないという選択も起こり得る。
田畑氏によれば、企業から「急に辞めてしまった」と聞くケースでも、本人に話を聞くと、業務量や人間関係などへの不満が以前から積み重なっていたことがあるという。
問題は、不満が存在することよりも、それが会社側から見えない状態が続くことだ。