女性閣僚W辞任の裏に安倍首相「脱・先進国最低」の思惑

デイリーニュースオンライン

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【朝倉秀雄の永田町炎上】

 小渕優子、松島みどりのW辞任後、新就任した宮沢洋一新経産相にも「SMバー支出問題」などの醜聞が噴出。まさに“泣きっ面に蜂”の安倍内閣だが、自業自得な感もある。

小渕、松島のW辞任で大打撃。そしてSM経産相……

 永田町随一の大酒呑みで「爺、よきにはからえ!」とばかりに何事も他人任せにしていた小渕優子前経産相と、法務官僚たちの鼻つまみ者だった松島みどり前法相が揃って辞任に追い込まれた。

 おまけに、小渕氏の後任として就任した宮沢洋一新経産相にも早速「SMバー」支出問題、東電株保有問題などの不祥事が発覚。なかなか重要法案の審議に入れないというのだから、安倍首相は自らの人事で自分の首を絞めている格好である。

 宮沢経産省についてはひとまず措くが、一般に女性の閣僚登用というのは大きなリスクを伴う。内閣に対する好感度や女性重用への評価が支持率上昇に直結するのは確かであるものの、その反面、人選次第では内閣の命取りにもなりかねない。

 過去を振り返っても、文句なくその責務を果たしたと言えるのは数えるほどである。4度も大臣になり、内閣史上たった一人の女性官房長官として内閣を縦横無尽に仕切り、男どもが舌を巻いた森山真弓氏。そして、外相として腕をふるい米国から「タフ・ネゴシエーター」と絶賛された川口順子氏。ごくわずかな彼女たちのような例外を除き、多くの女性官僚が何らかの形でトラブルを引き起こしている。田中眞紀子外相vs.外務官僚、小池百合子防衛相vs.守屋武昌次官、小宮山洋子厚労省vs.厚労官僚、蓮舫特命担当相vs. 官僚などなど……枚挙にいとまがない。

女性閣僚多数登用で“先進国”の仲間入りを目論む?

 それでも安倍は「成長戦略」に「女性に活躍の場を与え、その能力を十分に発揮させるためには、2020年までに指導的地位の女性の割合を3割にする」と謳った。先の内閣改造で18名の閣僚枠のうち5名(この人数は過去最多タイ)、割合にして27.8%を女性議員に割り当てた。政府自らが範を示し、安倍内閣は有言実行——“嘘はつかない”ことを国民にアピールしようとしたわけだ。

 だが、政策秘書として長年、政治の実態をつぶさに観察してきた筆者には、それはあくまで建前に過ぎないように見える。

 本心は、強引な集団的自衛権に関する憲法解釈の見直しなどによって下降気味だった内閣支持率を、「過去のどの内閣よりも女性を大切にしている」ように装うことによって再び上昇気流に乗せることにあったとしか思えない。当初、安倍首相は女性閣僚の登用人数を「6名」に拘ったという。

 ちなみに女性閣僚の割合が30%以上の国は、フランスの男女同数(50%)を最高に合計36か国(2014年1月時点)。だから、当初の「6名」を押し通していれば日本もその国々の仲間入りを果たし、第1次小泉内閣の5名をも凌いで「史上最も女性を大切にした総理」として後世に名を残すことにもなったのだろう。

 しかし、いかんせん日本の女性議員の数は衆参あわせても77名で全体の10.7%しかいない。衆議院に限っては480名中39名で、わずかに7.9%だ。世界189か国中127位で先進国では最低なのだ。

 日本の女性議員には閣僚にふさわしい人材が不足しているという現実もあり、それでも強引に比率を上げようとすれば、小渕氏や松島氏のような「問題児」が紛れ込んで次々と醜聞が飛び出すのも当然だろう。

 改造直後には10%以上も上昇した内閣支持率も再び下降に転じており、「女性パワー」を政治的人気取りと国民へのアピールに「活用」しようとした安倍の目論見は見事に裏目に出た。「深謀ならぬ短慮」でしかなかったのだから、実に皮肉なものだ。

 宮沢新経産相の諸問題への追及もさらに厳しさを増し、安倍政権の支持率や政策実行力にも大きな影響を与えること必至。「安倍内閣完全終了」への布石とならなければよいが……。

朝倉秀雄(あさくらひでお)
ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(ともに彩図社)など。
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