安倍首相〝電撃訪朝〟で「拉致被害者が帰国」の仰天シナリオ
日本人拉致被害者らを巡る北朝鮮の再調査は、「安否情報をなにひとつ伝えない実質ゼロ回答」で完全な肩透かしだった。
もちろん、北朝鮮がなにひとつ情報を持っていないことなどない。政府代表団から報告を受けた後の記者会見で安倍首相は、「(北朝鮮側から)過去の調査結果にこだわらず、新しい角度からくまなく調査を深めていく方針が示された」と、述べた。
「過去の調査結果」とは、拉致被害者に関して言えば、12名のうち「8名が死亡、4名が入国を確認できないか入国していない」としてきた調査結果である。
北朝鮮にとって過去の調査否定の否定は、それを容認した当時のトップである故・金正日総書記の権威を傷つけることになるから難しい。ところが今回、それを「修正する」というのだから、次の報告では「何名かの生存」を発表する道筋がついたということだろう。
生存が確実視されている拉致被害者は存在する
実は、北朝鮮担当のマスコミ記者の間で、「帰国可能な生存者の存在」は周知の事実となっている。
「徹底して国民を管理する北朝鮮が、日本がこだわる17名(うち5名は帰国)の調査をしないわけがなく、全員、しっかりとした管理下に置いています。我々がわからないのは、それが誰で、生存者が何名かということだけ」(大手紙担当記者)
生存が確実視され、名前も取り沙汰されている拉致被害者もいるのだが、被害者家族の心情を思えば、みだりに報道はできない。それは政府も同じである。
「すべての拉致被害者の家族が子どもを抱きしめる日がやってくるまで、私たちの使命は終わらない」
こう安倍首相が語ったのは、生存情報を得ているからだ。菅義偉官房長官もインタビューなどで「北朝鮮は拉致被害者を全員、管理下に置いている」と述べ、北朝鮮通の武貞秀士・拓殖大学教授は「少なくとも3~5名については帰国できる状態にある」と、日本外国特派員協会の講演で明言した。
誰もが生存を信じている。北朝鮮の“面子”と“駆け引き”が発表を阻んでいるものの、拉致被害者の調査が事実上、終了しているのだから、後はそれを日朝政府が合意の上で、いつ出すかだけである。前出の記者が言う。
「あまり長く引き伸ばすことはないと思います。年内に生存が確実視されている数名の存在を発表。安倍首相が訪朝の上、連れ帰ることになるでしょう」
とにかく一歩前に進むこと。それが、国民すべての願いだ。
- 伊藤博敏
- ジャーナリスト。1955年福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、1984年よりフリーに。経済事件などの圧倒的な取材力では定評がある。『「欲望資本主義」に憑かれた男たち 「モラルなき利益至上主義」に蝕まれる日本』(講談社)、『許永中「追跡15年」全データ』(小学館)、『鳩山一族 誰も書かなかったその内幕』(彩図社)など著書多数