【公開対談】エロからエコまで…DMMが手掛けたペニオクでは10億円以上の赤字

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スペシャル対談第三弾
スペシャル対談第三弾

【DMM会長×やまもといちろう公開対談vol.3】

 10月27日、これまで多くを語らず、謎のベールに包まれていた男・DMMグループ会長の亀山敬司氏と個人投資家でIT業界にも精通している作家のやまもといちろう氏の対談が行われた。その模様を計6回にわけて配信していく。

「エロからエコまでなんでも売れ!」

やまもといちろう(以下、や) DMMさんのビジネスって中核がどこにあるのか?ぼやっとしていて見えないんですが。

亀山敬司(以下、亀) まあでも、これから先も伸びるっていう所には行ってるつもりなんです。会社っていうのは続けなきゃ意味がないので、稼いでるうちに次の所へ行っとかないと駄目になる。さっきも話しに出たけど、太陽光なんてダメになる前提だったから。

「ダメになったらやめちまえ」と。

 うん。だからその時は、太陽光の営業マンたちを次はどこ行かせるんだって……。3Dプリンタとかパチンコ情報とか、そういう所に移動を考える。

 すごいですね、太陽光から突然パチンコに移動したら・・。

 今の太陽光やってる社員って、一番初めはクーポンで入ってきたんだよね。

 そうなんですか?「DMMクーポン」ありましたね。

 ポンパレとグルーポンとの戦いに参戦したんだけどあえなく玉砕、キャインキャインっていって撤退。しょうがないから「明日から風俗の営業行け!」って・・。風俗情報サイトやろうと思ったら、震災で太陽光やることになって、「やっぱり風俗やめ!太陽光に移動!」って。

 すごいですね。精神的転勤がすごいです。すごい僻地に飛ばされてる感じがします(笑)

 でも営業マンは「何でも売れる営業」っていう考え方ができないとね。最初は素人でも1年も経つとみんな太陽光のスペシャリストですよ。頑張っただけに現場からすると思い入れはあるんだろうだけど、縮小する市場に居続けると営業マンは順番に辞めていかざるを得なくなる。だとしたら徐々に移動させていくことで雇用を守るしかないって。「柔軟になれ!何でも売れるようになれ!」っていうのをいつも言ってる。

 柔軟すぎて訳が分からないんですが(笑)

 「エロからエコまでなんでも売れ!」っていう(笑)

ペニオクでは10億以上の赤字だった

 ちなみに、仕事ではやっぱり事業ごとに強い、弱い、を見極めてるんですか?

 今でこそ「金に物言わせて広告打て〜!」とか、やらしいことやってるけど、初めの頃はゲリラなのでゲリラなりの戦い方で、ここだけ戦おうとか強いのが来ないスキマ行こうとかね。個人の問題だったら強いもんに立ち向かうのもいいけど、組織的な考え方をすると負けるケンカはできないっていうのがあるでしょ。だから勝てそうなら行くし、負けると思ったらさっさと逃げる。

 ペニオクとかは結構戦ってらっしゃったじゃないですか?

 そうですね。「これはイケる」と思って・・。物販だと楽天やアマゾンに勝ち目がないでしょ。そんな時にペニオクを見て、これはギャンブル要素があって、皆が楽しみながら物を買えるっていう面白みを感じたの・・。ところがね、みんなが「botがいる!」とか言い出して。

 大騒ぎでしたよね。

 1年ほど続けたんだけど景品だけで8億、運営費も入れたら10億以上の赤字だった。っていうのは、常連のユーザー同士が2ちゃんねるとかで談合するんですよ。「俺がこう行ったら来るな」とか、みんなで合図を決めて。だから強いIDの名前を見えなくしようとか、付けられなくしようとか、いろんな対抗策をとったんだけど、イタチごっこだった。結局一部の人だけが稼いで、多くの人達が損することになってDMMも大赤字、その上に世間からはbotで荒稼ぎしてるって言われて評判が悪くなる。悪魔の証明じゃないけど、botがいないって証明はなかなかできなかった。

 「試行錯誤はかなりされた」と。

 うん。botは詐欺なんでね。うちは「詐欺だけはやるな!」っていうのがあるので。20歳の娘に女子高生とか言わせてるのはあるけどね(笑)

 それはね、しょうがないです(笑)職業柄やむを得ないです。それ以外でこれだけは守るっていうのはあるんですか?

 うちは詐欺やるなぐらいで、あとは何でもやっていいとは言ってますかね。業種には線を引いてないので、ただ「社会的支持を受けないと」っていうのはあるかな。今はロボットとか電気自動車とかのベンチャー支援もしていこうかと思ってます。

 じゃあ本当にいっちょがみで、まずは見ていきながらってことですか?

 根っからの商人なんで、クリエイティブなことよりクリエイターの支援みたいな仕事のほうが、ポジション的に合うかな。モノを作るっていうよりも作る場所を用意するとかね。そうやってうまく搾取していこうかなと。ちょっとずつ5%くらいチャリンチャリンと寺銭を(笑)

 つまり、コングロマリットを作っていこうとかいう発想ではなく、商いとして、その先にあるものは一つ一つ手を付けていくという感じですか?

 一つ一つというか、実際、会社を継続するためには何かやらなきゃいけないってだけなんで、「何兆円企業を目指すんだ!」とか「インターネットで世界を幸せに!」とかそういう大きいビジョンはないです。

 あ、そうなんですか?それは清々しいですね(笑)

 「みんなで次の時代を生き残っていこう!」みたいな。

利益を出さずにパイを増やしていくのが企業の理想

 すごい生き残り方ですね。生き残るどころか太り続けてるように見えますけど・・。普通はこのくらいの商売だと「上場するぞ!」とかなるんですけど、そういう証券系の切り盛りっていうのが、あまり見受けられないんですね?

 そうですね、単純に上場やってみたいなと思った時期はあったんだけど、いろんなマイナス面も見えてきて。今は大変な割に合わない気がします。事業のために増資で資金調達したり株式交換していくならともかく、自分の株の価値が上って喜んでるだけだとあまり意味がない。それに四半期ごとの決算を出さなきゃいけないとか結構面倒くさいでしょう。うちらみたいに新規事業やってたら、やるたびに株価が下がる。例えば「3Dプリンタにいくら出します!」って言ったら暴落するんじゃないですかね。

 そうですね、「またそんな博打うちやがって」みたいな話ですね。

 だと動きにくいでしょ。だからどっちかっていうと、アマゾンみたいに投資で利益を出さず、パイをどんどん増やしていくのが企業としては理想的かなって思いますね。

 それは、ある種、銀行にあまり頼れなかったことも響いているんですか?

 昔は銀行に頼れなくて自給自足でやってて、とにかく資金を集めたかったですよ。だってやりたい事業が山盛りあったから。でも、3年位前から新規事業が作れずに稼いだ資金が余ってきた。その段階から公開はないって感じになって・・。最近はいろんな人のアドバイス受けて新しいことできるようになったけど、結局手持ちの資金を常に運転できるかってことですね。

 ちゃんと資本効率を上げようってことですよね?

 そうですね。じゃないと資金残ってるなら配当すればいいって話になるじゃないですか。うちは配当とか一回もしたことないんで。全部次の事業という感じで。

 カジノで言うと、持ったチップ全部張ってるようなもんですね(笑)

(第四回へ続く)

第四回 DMMの海外戦略は野良アプリ、アンドロイド、エロエロ
第二回 DMMアダルト進出のきっかけは「バック・トゥー・ザ・フューチャー2」
第一回 北朝鮮からFC2まで、DMMにまつわる疑惑の真相とは

※対談全編の音声はこちらからお聞きいただけます。

プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。DMMニュースでも連載「やまもといちろうのとっておき時事放談」を執筆中。

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

プロフィール

DMMグループ会長

亀山敬司

石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めるも、めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎につつまれている。

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