DQNも兵士に!?「イスラム国」構成員の正体

デイリーニュースオンライン

Photo by Bryan Dorrough via filkr
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 フリージャーナリストの後藤健二氏(47)を殺害したとする動画をインターネットで公開したイスラム教スンニ派過激組織「ISIS(イラクとシリアのイスラム国)」。他のテロ組織とは大きく異なる点として、常軌を逸した残虐性とともに指摘されているのが、独自の広報戦略だ。

 インターネットを駆使して世界中から戦闘員を集める彼ら。リクルート手段の1つになっているのが、「イスラムテロリストの2ちゃんねる」ともいわれる掲示板である。

「このナイフはケンジを殺すだけでなく、おまえ(日本)の国民を場所を問わずに殺戮する。日本にとっての悪夢の始まりだ」

 日本時間2月1日午前、ISISが発したビデオメッセージ。過去の首切り動画にも登場した「ジハーディー(ジハード主義の)ジョン」とみられる黒装束の男が、ナイフを手に声明を読み上げる。傍らに座る後藤さんとみられる男性の首にナイフを当てると、画面は暗転。その直後、首を斬られた男性の遺体が映し出された。

 痛ましいこの動画は、アラビア語の掲示板サイト「プラットホーム・メディア」に投稿された。日本語で「ジハード(聖戦)の広報フォーラム」と呼ばれるこのサイトには、これまで日本政府などに出された動画メッセージもこのサイトにアップされている。

 イスラム国の戦闘員をはじめとするイスラム過激派メンバーも利用し、

「ISISの活動を宣伝する舞台のひとつになっている」(大手紙外信部記者)

 という。

メディアを駆使してDQN集め

 2011年に米軍によって殺害された「アルカイダ」指導者、オサマ・ビン・ラディンの顔写真が掲載されていることからも一目瞭然だが、サイトに集まるのはイスラム過激派のメンバーやその支持者が多い。

 掲示板には、残酷な処刑シーンや死体写真がこれでもか、とアップされる。

 今回の事件に関する書き込みも多く、後藤さんの殺害が明らかになる前の先月末には、

「カウントダウンが始まった。『イスラム国』の戦闘員はナイフを見つめている」

 という犯行予告のような投稿もなされた。中東研究者の1人が解説する。

「サイトは日本でいう『2ちゃんねる』のようなもので、書き込みを行っているのは、必ずしもイスラム教の信者ではない。ほとんどは、過激思想に傾倒するジハードファンと呼ばれる輩だ。暴力的でショッキングな表現を好むやつらで、言うならばあちらのDQN(ネット用語でヤンキーや粗暴な若者を指す)連中だ」

 ISISが広報ツールに利用するのは、このサイトだけではない。

 ネット上に、「DABIQ(ダービック)」と題した機関誌を公開。最新号である第6号では、拘束されたヨルダン人パイロットのインタビューも掲載している。

「ダービックとは、イラクの激戦区の名前で、ISISの戦果の報告が内容のほとんどだ。欧米諸国や敵対組織への敵意を煽るネガティブキャンペーンに用いられており、敵対するイスラエルのネタ二ヤフ首相、オバマ米大統領の発言を『敵の語録』として載せたりもしている」(同前)

 ISISは、こうしたメディアを駆使して、世界中から洗脳しやすいDQNを集め、戦闘員に仕立て上げている。

 世界に恐怖をふりまくテロ組織の内実は、ネットリテラシーの低いDQNの集まりだともいえるわけだ。

(取材・文/浅間三蔵)

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