「出生率」道内1位・えりも町。その理由はあまりに「当たり前のこと」だった (2/2ページ)
地域ぐるみの取り組みが大きな豊かさを生んだ
えりもの出生率が高いのは、漁業の安定がもとになっていることはわかりました。しかし、漁業が破綻すればマチが崩壊する危険も否定できません。事実、えりも町はかつて大規模な人口流出の危機にさらされたことがあったからです。
えりも岬の北側の国有地はかつて過剰な伐採と強風のために、はげ山となってしまいました。人呼んで「えりも砂漠」です。そんな荒れ地に緑を取り戻すために、1953年国が緑化事業をスタート。地元の住人達も作業に加わり、緑の大地を目指しました。
緑化を進めることで、森林が生い茂る土の栄養分が海にまで十分に行き届くため、魚たちが集まり昆布も育ちます。実際に緑が広がるにつれて魚介類の水揚げ高は右肩上がりに伸び続け、2003年には50年前のおよそ50倍の水揚げ高を記録しました。
地元の漁協は、漁業の安定こそが後継者を残すための一番の対策だと話します。
世代を超えて受け継がれていく漁業。丘の恵みが海の恵みへとつながっていく緑化事業。地域ぐるみの取り組みが子どもたちを産み育てていく環境も豊かにしていました。
産業が安定しているからこそ子供も多いし、若者も残る――「当たり前のこと」ですけれど、その背景には地元の努力があることを実感しました。(ライター:北海道saki)