古美術品が日本から消える!? 中国人“もうひとつの爆買いツアー”

デイリーニュースオンライン

中国人観光客が殺到する秋葉原
中国人観光客が殺到する秋葉原

 2月18日から24日は中国の春節。日本の正月に匹敵するもので、中国では1年のうち最も大切な休み。このシーズン、中国国内では故郷里帰りなどで延べ37億人が移動、約300万人が海外旅行に出る。

 うち1割の約30万人ともいう中国人観光客が訪日、北海道スキー、温泉旅行、富士山見学、京都ツアーと楽しむ。中でも秋葉原、銀座などで高額商品購入や多額のショッピングを楽しむ“爆買”ツアーには日本の商戦も熱くなる。中国事情通が言う。

「爆買ツアーは、なぜ起きるか。中国は日本の消費税にあたる税が3割近くあり、上海、北京などの大都市の日本商品は日本の約5割増。しかし日本に来れば免税店が増えた上、今は円安で垂涎の日本商品がほぼ3割安から半額で買える。それが爆買ツアーにつながる。最近の人気商品は高機能便座、炊飯器など。特に便座が暖かく、しかもお尻を洗浄してくれる日本のウォシュレットは爆発的人気です」

古美術品の買い戻しツアーが富裕層に大人気

 しかし、ここで事情通はこう明かす。

「だが以上の品は一般人。実は、今、中国の富裕層間で隠れた大ブームとなり、それが目的で春節中も続々と来日しているツアーがある。それは中国清朝時代など中国の古美術品、古書などの空前の買戻しブームに基づくツアーだ。日中の美術商などが中国人のために年、何回かオークションを開き、1回で1000点ほどの中国古美術品が買い上げられていく。高いもので1点2000~3000万円の篆刻や書画、数十万円の鼻煙壺(嗅ぎ煙草)などが次々と捌かれ、1回のオークションで数億円から数百億円が動くというのです」

 これら中国古美術品がなぜ、日本にあるのか。

「1966年頃からの毛沢東時代の文化大革命。中国の古い文化が否定され、貴重な文化財などが紅衛兵に燃やされ破壊された。当時、それを憂いた中国人が日本に密かに安価で流し、一時避難させたり、日本の金満古美術商が、中国でほぼたたき売り状態の商品を集めたりで大量の国宝級の中国古美術品が大量に日本に流れたのです。今は時代が代わり、その中国古美術を金満中国人が買戻しの大ブームが起きているのです。仮に2000万円で落札した篆刻は現在の中国に戻れば億単位の価値を生むこともあるだけに、中国人の中国古美術買戻しツアーはヒートアップ。どこも大盛況です」(同)

横行する贋作

 そして、こう笑う。

「だが中国古美術の贋作も多い。私も数百万円はするという中国の書画を以前数万円で手に入れ喜んでいた。それを今回、ある中国人に販売しようとしたら熱心に鑑定していたその中国人にこう断言された。『これは贋作です。なぜならこれを書いた人の印鑑のこの部分のハネかたがコンピューターで統計が取られたものと明らかに違う。本物はこれだけハネているがあなたのはハネてない。今は古美術の多くはコンピューター統計で分析する時代。あなたのは数百円の価値もない偽物です』と言われてしまったのです」

 中国人自国古美術買戻しブームとコンピューター鑑定、時の流れはスゴイ。

田村建雄(たむらたてお)
1950年生まれ。地方新聞記者から週刊誌記者に。現在は月刊誌、夕刊紙などに政治、事件記事など寄稿。著書に『ドキュメント外国人犯罪』『中国人毒婦の告白』など多数。
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