The USA発 東日本大震災、4年後の報道
4年前、その時間はここでは午後10時46分(The USA:パシフィック・タイム )でした。地震の事など全く知らず、翌朝5時、たまたま早く目覚めてニューズをチェックするのにテレビを点けて初めて知りました。これまでもある程度の地震の報道はされていたので、最初はまたかという程度で、少し経って家々が飲み込まれる映像を見て初めて事態の重大さ、悲惨さに気がついたのでした。

出典: geoboxx.com
震災を知ってからは、テレビをニュース・チャネルに切り替え、また、日本のいくつかの放送局がインターネット上で無料送信している事を知り、ずっと見守っていました。洪水が押し寄せ、建物を押し流し、逃げ遅れた人々が飲み込まれるのをモニター越しながら目の当たりにしてその圧倒的な脅威に大きく動揺しました。そうしているうちに、今度は原発が爆発して水蒸気が吹き上がる様子が映し出されたのです。その後の対応で、政府の記者会見が何度となく開かれていましたが、当時の政府の枝野官房長官の会見で「直ちに人体に影響を及ぼすことはない。」という答弁にとても違和感を感じながら見ていたのを覚えています。

大震災以降の1年ぐらいで日本でも急速にフェイスブックが普及したようで、急に日本人のfbfが増えていきました。その多くは意識が高い人達で、いろいろと情報が交換できるようになりました。彼らとのやりとりやネット系独立メディアの情報、欧米のメディアと、日本の大手メディアとでは報道内容に開きがあることがわかってきました。政府ぐるみで東京電力の放射線汚染に関する情報隠遁をしていること、真実を追求しない、できない大手メディアの力の弱さが露呈してしまいました。

USA TODAYは、放射能汚染で4年経っても未だに何百キロ平米にも渡って森林、農地、居住地区に立ち入れない現状にあり、25万人の人々が仮設住宅など暫定的な場所での生活を強いられて状況を伝えています。また、大規模な除染が行われた後でも放射線量が通常時の10倍以上あって自宅に戻れない飯舘村の被災者のインタヴューがその絶望感を表しています。「最初は数日の避難のつもりが何週間、何ヶ月、そして、4年、もう永遠に戻れないのかもしれない。」そして、破壊された発電所では、原発処理作業者たちが汚染水を食い止めるべく戦っている。
ただ同紙では、今のところ放射線汚水によって一人も死亡者を出さず、病気を報告されていない、と報じていますが、これは大きく認識を誤っていますね。もっともUSA TODAYは、アメリカ唯一の全国紙ではありますが、それほど影響力のあるメディアではありません。

出典: 3/10 New York Times / AP通信
大江健三郎氏は日本の原発再稼動推進は新たな危機を引き起こすと述べ、ドイツの例を挙げ、丁度来日したアンゲラ・メルケル首相が福島の危機によってドイツの原子力発電を2022年までに全廃する決定をしたという例を挙げ、安倍首相に核廃絶を促した。一方、安倍総理はメルケル首相との会見で、“日本は電力の安定供給には尚核エネルギーが必要としている。災害によって多くを学び、最新の原発はトップレベルの安全基準を確保したと繰り返している。
大江氏はこの二人の首脳の(明確な)対比を目の当たりにし、「このことは実にシンボリックだ。このような大事故があったに関わらず、日本の政治家は事態を改善しようとせず、現状維持しようとするだけだ。もし、また起きてしまったらそれこそ日本の未来は消滅する。」
大江氏は自身の最後の仕事は非核のために捧げるとしている。「我々は次の世代に原子力発電所を残してはならない。」
『Japan PM vows new five-year plan to rebuild from 2011 disaster』:安倍総理大臣が表明した新復興五カ年計画の記事
安倍総理大臣は「我々安倍内閣は被災地において復興に努力されている皆様を全面的にサポートしていきます。」そして、「現在の集中的五カ年計画は来年3月で終了しますが、新たな五カ年計画を夏までに策定します。」と述べたが、予算の内容については地方自治体との話し合いの中で決めていくとして詳細を上げることは避けた。更に首相は「その足取りはゆっくりかもしれないが、復興は確実に新しいステップに移行している。」と加えた。最も被害が甚大だった3つの地域で50億ドル(約6,000億円)が費やされていると推定される。
『Japan’s Slow Tsunami Recovery, 4 Years On 』日本の遅い復興: ワシントンポストの記事

出典: 3/11 Washington Post / AP通信
ワシントンポストはAP通信の記者が最大級の被害に遭った陸前高田を再度取材し、4年たった現在も空き地になったままの広大な土地が残され、低地を底上げする工事が続いていて復興までにはままだまだ相当な時間がかかるだろうと報じ、また、今尚仮住居で不便な生活を送っている人々がいることを、追悼式典での天皇の人々を心配し思いやるお言葉を引用して報じています。

大地震と大津波が日本をノックダウンして4年が経った今なお、日本は壊滅的な事前災害から立ち直るために、さらに原子力、放射線物質汚染問題の解決において検証も復旧作業もまだまだ半ばである。
タイム誌は災害の後遺症・影響をレポートし、日本の国民性と同様に原発産業について調査してきたとして、同誌編集長でエッセイストのナンシー・ギブズの言葉を引用しています。『最初は自然災害だった。しかし、次の波は人間が作り出したものだ。恐怖と不安は3日間で7兆ドル(約840兆円)を東京為替市場から』剥ぎ取った。日本は世界の半導体や装置の1/4を製造している。ソニーは7箇所のプラントを一時停止し、自動車は出荷が遅れた。電力会社は計画停電をスケジュールした。もし世界第3位の経済大国が一時的にせよビジネスできなくなったら全世界の経済回復はどうなるだろう。一方で、スイスは原子力発電所の凍結を発表し、ドイツは1980年以前に建設された全ての原発施設をシャットダウンした。(2020年までに全廃)アメリカの議会は原子力の安全性についての公聴会開催を命じた。洪水にみまわれた日本のプラントは2度と再開されない。しかし、供給電力の拡大だけは要求される。』
以降は英文では隠喩的表現を使ったいささか同情的なコメントです。
『我々は、陳腐な表現ではあるが、“柔らかい腕の中ではよく眠れる。”
想定可能な準備はできるだけするが、そういったところで、地震を止められることなどできようか。しかし、日本はその思い込み故に、震撼することになったのだ。
"We sleep easy in the soft arms of clichés: hope for the best, prepare for the worst; risk varies inversely with knowledge; it’s a waste of time to think about the unthinkable. But Japan shook those soothing assumptions. No amount of planning, no skills or specs or spreadsheets, can stop a force that moves the planet."
しかしながら、東京電力や国は果たして想定できる全ての事前対応をしてきたのでしょうか。
福島で旅館を営んでいる友人がいます。

出典: 福島のいまを知るツアー(fbにて公開済み)
ある友人はいわき市で旅館を経営しています。以前の宿泊客は観光、レジャーを楽しむ人たちだったのが、現在は原発作業員の宿泊所になっていて、彼らは毎日往復4時間かけて現場と旅館を行きしているそうです。大手ゼネコン、プラントの社員も時々来るとのこと。作業員の方々の許容される積算線量の関係で1年ぐらいで交代しているようですが、この状況は延々続くのでしょう。そのような状況の中、去年は『福島のいまを知るツアー』で坂本龍一さん、大友良英さん、遠藤ミチローさん達ご一行が宿泊されたとのこと。(経営者である友人は、今は休止状態ながらインディペンデントの音楽家でもあり、大変な日々の中、この時はとても喜んだと思います。)彼らは、毎年福島で音楽イヴェントを開いていますね。そして、最近では放射線測定の技術者も泊まりで来るそうで、セシウムだけでなく、新たにストロンチウムやトリチウムなど、ベータ線の測定を行うべく準備中だそうです。

出典: 福島のいまを知るツアー(fbにて公開済み)
外から日本の様子を見ていると、対応や検証など、全てにおいて遅い気がします。東京電力の情報隠遁や無責任体質、政府の虚偽声明、復興支援予算がきちんと使われていない、更に大手メディアは正確な報道をせず、権力へのカウンターの役割を果たしていないように見えます。ここアメリカでも時に政府による情報操作や隠遁が発生しますが、事実はいずれ白昼に晒され、明らかになります。それを考えると、日本のメディアは権力に阿ねってばかりいるように思えます。そして、何よりも多くの日本の人たちが周囲を気にしてか現実に直面していないことが気になります。
アメリカ西海岸の大学や研究機関は海洋の状態を毎日計測し、アップデイトしています。

出典: Deep Sea News
最後に、漏洩した放射線汚染水がアメリカにも大きく影響を及ぼしている様子を、海洋専門サイトの記事(英語)を紹介しておきます。